第二章
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「私やお祖父ちゃんやお祖母ちゃんがご飯あげてお水あげて遊んでる時もね」
「いつもなのね」
「凄く尻尾を振ってね」
そうしてというのだ。
「それでなの」
「愛想がいいのね」
「そうなの、撫でたり触ったりすると凄く嬉しそうで」
それでというのだ。
「絶対に吠えたり噛んだりしないし」
「いい子なのね」
「とてもいい子よ」
「あんないい子はいないな」
「そうよね」
祖父母も言った、幸恵から見て両親である彼等も。祖父は眼鏡をかけて薄くなった白髪が印象的で祖母は白い髪の毛を短くしていて彼女も眼鏡をかけている。二人共如何にも老人といった外見と服装である。
「色々なワンちゃんがいるけれど」
「ポチは特別性格がいいな」
「私達にも懐いてくれてるし」
「散歩の時もどんな人にも犬にも愛想がいいしな」
「そんなにいい子なのね」
幸恵は両親の言葉を聞いてまた言った。
「だから私にもうちの人にもなのね」
「愛想がいいんだよ」
「あんた達は犬嫌いでもね」
「そうなのね、けれどね」
それでもとだ、幸恵は言った。
「私はね」
「子供の頃から犬嫌いだしな、お前は」
「それで夏樹さんもね」
「いじめたりはしないけれど」
二人共そうしたことをする性格ではない。
「けれどね」
「それでもだな」
「あんた達はね」
「嫌いだから」
このことは事実でというのだ。
「やっぱりね」
「世話はか」
「しないのね」
「それはね」
こう言うのだった、だが二人共。
ポチがいつも愛想がいいので挨拶もしなかったのが次第に挨拶を返す様になってそのうちにだった。
ご飯をあげる様になった、娘もこれには驚いた。
「お母さんがポチのご飯あげるの」
「悪い?」
「お母さん犬嫌いじゃないの?」
「それでもよ、懐いてくれてるから」
それでというのだ。
「お母さんもね」
「ポチにご飯あげるの」
「お父さんもおやつ買ってきたわよ」
ポチの為のそれをというのだ。
「だからね後でね」
「お父さんがおやつあげるの」
「そうするわ」
「そうなのね」
「時々だけれど」
それでもというのだ。
「これからはお母さんもご飯あげるわ」
「そうするの」
「ええ、これからはね」
こう言ってだった。
ポチが家に来て一年程経つと伊代の両親も彼にご飯やおやつをあげる様になっていた。そしてそこからだった。
仕事がない時に遊んだり散歩に連れて行ったりした、これには祖父母も言った。
「あんなに嫌ってたのに」
「それがね」
「散歩にまで行って」
「遊ぶなんてね」
そうしたことをする様になってというのだ。
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