第五章 トリスタニアの休日
第四話 魅惑の妖精
[10/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たちに向けて指示を出している。スカロンの傍に歩み寄ると、士郎が話しかけた。
「ミ・マドモワゼル。今日はルイズを休ませて欲しいんだが」
「あらルイズちゃんもなの?」
「ルイズも、とは?」
士郎がスカロンに問い返すと、スカロンは困ったわというように顎に手を当て首を傾げた。
「実はジェシカちゃんもなのよ。困ったわね、『魅惑の妖精』亭のトップ二がまとめて休んじゃうなんて……まあ、二人に渡した『魅惑の妖精のビスチェ』も使いようがないからある意味ちょうどいいわね」
チップレースの結果発表の後、二人に渡された『魅惑の妖精のビスチェ』を二人はどうしたのか誰も知らない。あの後二人が士郎たちの部屋、屋根裏部屋で何やら話し合っていたのは知っているが、士郎は何を話していたのかは知らないでいた。
「確かに使いようがないな」
もし二人が同時に使うとしたら、『魅惑の妖精のビスチェ』を上下で分けるしかない。
……つまりパニエのみの姿と、レオタードのような上着のみの姿となる。
そんな格好で客の相手なんて出来るはずもなく。
「しかしジェシカもか……何かあるのか」
何気なく呟いた士郎の言葉は、女の子たちに声を掛けるスカロンの声に紛れて消えていった。
チップレースの時ほど忙しくはなかったが、それでもやはり『魅惑の妖精』亭は繁盛しているため、士郎が仕事を終えた頃には、戦いとは違う疲労が全身に回っていた。特に今日は開店までに店の修理を一人で行っていたため、いつもより疲れている。ねっとりとした疲労を感じながら、士郎が屋根裏部屋に辿り着く。ドアを開けると、テーブルの上に立つ数本のロウソクの火が、微かに部屋を照らし出している。ベッドに誰もいないことを確認した士郎は、ベッドに近付くと椅子の代わりにベッドに腰を落とした。
「部屋にいると思ったんだが」
身体を投げ出すと、小さなベッドが軋みを上げた。
心地よい疲労感に、瞼が落ちようとする直前、
「シロウ……起きてる」
ドアが開く音ともに、ルイズの声と、
「シロウ……その……失礼します」
ジェシカの声がした。
「ルイズ? ジェシカ? ああ起きてるが、どう、し……た……」
腹に力を込めゆっくりと起き上がった士郎の前に、黒いビスチェだろうと思われる物を身に付けたルイズとジェシカが立っていた。
……正確に言うならば、昨日渡された『魅惑の妖精のビスチェ』の、レオタードのような部分を着たルイズと、パニエのみを着たジェシカが立っている。
そう……それだけなのだ。
ルイズの格好は、まるでスカートを履き忘れたような格好のようで、ルイズは真っ赤な顔で必死に下半身を両手で隠している。
ジェシカはもっと酷い……とい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ