第五章 トリスタニアの休日
第四話 魅惑の妖精
[9/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
と思い財布の山を抱え直すと、ルイズとジェシカに顔を向けた。
「これは店の修理代に使いたいんだが、いいかルイズ、ジェシカ?」
「ま、あたしはいいけど」
「わたしも構わないわ」
「というわけだ」
「分かったわ、ならチップレースの結果はそれを除いた数ね。じゃあ皆、今持ってるチップをこっちに持ってきて」
スカロンが椅子に座ると、テーブルを叩いた。
すると女の子たちが手にチップを持って、スカロンの前のテーブルの上に置く。目の前に積み重ねられたチップの山を、スカロンが目玉を動かし数えだす。
スカロンがチップの数を数えている間暇になったルイズは、士郎に近づくと話しかけた。
「勝てるかな」
「さてな? あの財布の中身を合わせたら確実に勝てていたが」
「それじゃ意味がないの」
「意味?」
「あの女には女として勝ちたいの! それ以外の力を使って勝っても意味がないのよ」
「そうか」
士郎たちが話していると、どうやら集計が終わったようだ。スカロンが立ち上がって女の子たちの前に立つ。
「それじゃあ今回のチップレースの優勝者を発表するわよ!」
ニヤニヤと意味深な笑みを浮かべて士郎たちを見たスカロンは、腕を広げて大きく声を上げた。
「今回のチップレースの優勝者は」
ゴクリと誰かが喉を鳴らす。
ルイズが前のめりに身体を倒し、
「ジェシカちゃん!」
大きく息を吐き肩を落とした。
涙に潤み始めた顔を士郎に向け、悔しそうに顔を歪めると、何か言おうと口を開き、
「そしてルイズちゃん!」
「えええ!!」
スカロンに顔を向け驚愕の声を上げた。
ルイズだけでなく店の女の子たち全員からの疑問の視線を向けられたスカロンは、何やら文字が書かれた紙を向けてくる。
「なんとびっくり、ルイズちゃんとジェシカちゃんのチップの合計がぴったり同じなのよ! こんなの初めて! 驚きの同着! 同時優勝よ!!」
「「「ええええええ!!」」」
皆が上げる驚きの声を、楽しそうに聞きながら、スカロンは困った顔をすると、腕を組んで首を傾げた。
「……『魅惑の妖精のビスチェ』……どうしようかしら?」
「おいルイズ。もうすぐ店が開くぞ。早く出てこい」
チップレース最終日の翌日。士郎がベッドに出来た山に声をかけると、
「……今日は休む」
とルイズの声が返ってきた。
「休む? どうかしたのか?」
「いいから今日は休むの」
声の調子からして病気ではないようだが……昨日は随分と活躍したことだしと、ルイズの分も働くかと歩き出した。
「そうか、気分が悪くなった呼んでくれ」
階段を下りると、スカロンが店の女の子
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ