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剣の丘に花は咲く 
第五章 トリスタニアの休日
第四話 魅惑の妖精
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な時、絶対に助けに来てくれる人がいることを。そしてその人は、やはり現れた。
 
「あまり無茶はするなルイズ」
「う〜〜! でもでも! あいつが悪いのよ! わたしを無視してジェシカのむ……胸! 胸ばかり見て! こっちを見向きもしない!! 屈辱だわ屈辱!! それにちゃんと手加減したのよ!!」
「……あれで手加減」
「何よ! 文句あるの!!」

 騒ぐルイズとそれをたしなめる士郎の周りには、床に叩き伏せられた取り巻きの貴族たちが転がっている。取り巻きたちが呪文を完成させる前、士郎が問答無用に叩きつけたのだ。従業員たちの呆然とした視線に曝されながらも、ルイズたちは言い合っている。それを止めたのは、店長のスカロンではなく、ルイズに蹴り飛ばされたチュレンヌだった。

「こ、小娘。っこ、こんなことしてただで済むと思っているのか?!」
「ほら見なさいシロウ! ちゃんと生きてるじゃない!」
「生きているからいいのか」
「このわたしを蹴るなど――」
「それだけじゃないわ! 五体満足じゃない!」
「手加減してなかったら、手足が千切れるようなことになるのか」
「この店は潰して、貴様は首輪をつけて犬のように扱ってやる!!」
「可能性はあるわね! だって」
「聞いているのかこの洗濯板むすっどばふッ!!」

 木屑や瓶の破片を散らしながら立ち上がると、微かに傾いている顔を真っ赤に染めながら杖を振り回し、ルイズたちに近づいていくチュレンヌであったが、洗濯板と口を動かした瞬間、爆発音と共に宙を飛んだ。洗濯という言葉か耳に触れると同時に、ルイズがいざという時のために太ももに結びつけていた杖を取り出し、エクスプローションの呪文を唱えたのだ。その動きに淀みはなく。まるで流れる水のように自然な動きであった。そばで見ていた士郎でさえ、気付くのが遅れた程に。
 天井にぶつかった後、地面に叩きつけられたチュレンヌに、ルイズがゆっくりと歩み寄っていく。
 壊れたテーブルや椅子が軋む音だけが響く中、コツコツとチュレンヌに近づくルイズの足音が妙に怖い。関係ない筈の従業員や士郎さえ思わず一歩を後ずさってしまう程の殺気を放つルイズに、床に転がっていたチュレンヌが飛び起きる。

「ヒッ! ヒイイイイ!!」

 今まで向けられたこともないような巨大な殺気を向けられたチュレンヌは、腰が抜けて立つことが出来ず、ゴキブリのように床に手をつけて逃げ出す。士郎に叩き伏せられた取り巻きの貴族たちも、ルイズの殺気に叩き起され、同じように這って逃げ出していく。

「ねえあんた……今なんて言った? なんて言った?」
「「「ヒッ! ヒイ! ヒイイイイ!!」」」 

 杖を片手にゆらゆらと近づいていくルイズに、恐慌状態に落ち入る貴族たち。同時に店の扉に辿り着いたため、扉に挟まって身
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