第五章 トリスタニアの休日
第四話 魅惑の妖精
[12/12]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
「汗の匂い? と言うよりもこの匂いは……」
顎に指を当て唸り声を上げていたスカロンは、突然何かに気付いたかのように、はっとした顔を天井に向けた。
「は〜〜んそういうこと……シロちゃんもやるわね」
呆れながら笑うという奇妙な表情を浮かべたスカロンは、欠伸を噛み殺しながら外に向かって歩き出す。
昨日の夜、眠りにつく直前まで響いていた二種類の奇妙な音を思い出し、スカロンは、
「……どうやら今日も、ルイズちゃんとジェシカちゃんはお店に出れなさそうね」
そう、予感というよりも、確信に近い気持ちで呟いた。
「それより……『魅惑の妖精のビスチェ』はちゃんと綺麗にしてくれるかしら」
夕方、スカロンの予想通り、『魅惑の妖精』亭に、ルイズとジェシカの姿はなかった。
二人が姿を見せたのはその翌日。這うようにして屋根裏部屋から出て来たルイズとジェシカの二人だったが、奇妙な姿をしていた。ルイズは震える膝を必死に抑えた姿で、ジェシカは内股になり下腹を抑えた姿で、そしてそんな二人は士郎を睨みつけていた。
二人の視線に晒されていた士郎が、冷や汗をダラダラと流し、そんな様子を、スカロンがにやにやとした笑み浮かべ見ているという姿が、しばらくの間、『魅惑の妖精』亭で見られるようになった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ