第五章 トリスタニアの休日
第四話 魅惑の妖精
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うかエロい。
パニエのみを着たジェシカは、顔どころか全身を赤く染めながら、その豊満な胸を手で隠している。
つまりは手ブラだ。
カレン……お前のファッションセンスは、異世界でも通じるかもしれないな……。
現実放棄して、馬鹿な考えが浮かぶほど、目の前の光景の破壊力は凄すぎた。
「あ、あのし、シロウ。その、チップレースの優勝をシロウに決めてもらおうって」
ルイズは出来るだけ士郎の視界から、己の姿を隠そうと身体を捻っている。だが、その行動は、逆に士郎の劣情を燃え上がらせる結果となった。何故ならば、体を捻ることで、上半身の真ん中のラインにある網目に、ルイズの白い肌が押し付けられ、妙な背徳感を感じさせるからだ。
「だ、だから……選んで……あたしか、ルイズを……」
身につけているのは黒いパニエのみ、この様子では下着も付けていないだろう。胸を手で隠したジェシカが、寒さからではない震えで全身を揺らしている。
「る、ルイズ……ジェシカ……」
頭がクラクラする……これは一体何だ? 現実か? 妄想か? 夢か? 考えが纏まらない。
ルイズとジェシカがゆっくりとだが、確実に近付いてくる。目を逸らそうとするが顔が動かない。逃げ出そうとするが足が動かない。その内、逃げようとする意思さえなくなっていく。
このままではとんでもないことをしてしまう(・・・・・)と思いながらも、逃げ出すことが出来ない。
それは『魅惑の妖精のビスチェ』にかけられた『魅了』の魔法の力なのか? それとも二人の元からの魅力なのか?
近付いてくる二人から、甘い女の体臭が香り、臍の下あたりに熱いマグマのような熱が燃え上がり始める。瞳に霞が掛かり始め、息が荒くなる。
「「シロウ」」
二人の息が触れ……士郎の中で何かが切れる音がした。
「すまん、もう無理」
「「え?」」
翌朝、士郎が屋根裏部屋から降りると、箒を持ったスカロンと出くわした。
「あらシロちゃん早いのね」
「おはようございます……ミ・マドモワゼルも早いですね」
「まあね。早く目が覚めちゃってね。二度寝するのもどうかと思って、店の前の掃除でもしようかと……シロちゃんは?」
「ん……まあちょっと寝汗をかいたんで身体を拭こうかと……それと汚れたものも洗おうと」
「汚れたもの? 何かあるならわたしが洗うわよ」
そう言って近付いてくるスカロンから、士郎は何かを胸に隠すと、逃げるように後ずさった。
「シロちゃん?」
「い、いや。汗臭いからな。そ、それじゃあ俺はこれで」
スカロンに背を向けた士郎は、そのまま逃げ出していった。
士郎が去った後、スカロンは訝しげな顔をすると、鼻をヒクつかせる。
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