暁 〜小説投稿サイト〜
剣の丘に花は咲く 
第五章 トリスタニアの休日
第四話 魅惑の妖精
[11/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
うかエロい。
 パニエのみを着たジェシカは、顔どころか全身を赤く染めながら、その豊満な胸を手で隠している。
 つまりは手ブラだ。

 カレン……お前のファッションセンスは、異世界でも通じるかもしれないな……。
 
 現実放棄して、馬鹿な考えが浮かぶほど、目の前の光景の破壊力は凄すぎた。

「あ、あのし、シロウ。その、チップレースの優勝をシロウに決めてもらおうって」

 ルイズは出来るだけ士郎の視界から、己の姿を隠そうと身体を捻っている。だが、その行動は、逆に士郎の劣情を燃え上がらせる結果となった。何故ならば、体を捻ることで、上半身の真ん中のラインにある網目に、ルイズの白い肌が押し付けられ、妙な背徳感を感じさせるからだ。

「だ、だから……選んで……あたしか、ルイズを……」

 身につけているのは黒いパニエのみ、この様子では下着も付けていないだろう。胸を手で隠したジェシカが、寒さからではない震えで全身を揺らしている。

「る、ルイズ……ジェシカ……」

 頭がクラクラする……これは一体何だ? 現実か? 妄想か? 夢か? 考えが纏まらない。
 ルイズとジェシカがゆっくりとだが、確実に近付いてくる。目を逸らそうとするが顔が動かない。逃げ出そうとするが足が動かない。その内、逃げようとする意思さえなくなっていく。
 このままではとんでもないことをしてしまう(・・・・・)と思いながらも、逃げ出すことが出来ない。
 それは『魅惑の妖精のビスチェ』にかけられた『魅了』の魔法の力なのか? それとも二人の元からの魅力なのか?
 近付いてくる二人から、甘い女の体臭が香り、臍の下あたりに熱いマグマのような熱が燃え上がり始める。瞳に霞が掛かり始め、息が荒くなる。

「「シロウ」」

 二人の息が触れ……士郎の中で何かが切れる音がした。

「すまん、もう無理」
「「え?」」










 翌朝、士郎が屋根裏部屋から降りると、箒を持ったスカロンと出くわした。

「あらシロちゃん早いのね」
「おはようございます……ミ・マドモワゼルも早いですね」
「まあね。早く目が覚めちゃってね。二度寝するのもどうかと思って、店の前の掃除でもしようかと……シロちゃんは?」
「ん……まあちょっと寝汗をかいたんで身体を拭こうかと……それと汚れたものも洗おうと」
「汚れたもの? 何かあるならわたしが洗うわよ」

 そう言って近付いてくるスカロンから、士郎は何かを胸に隠すと、逃げるように後ずさった。

「シロちゃん?」
「い、いや。汗臭いからな。そ、それじゃあ俺はこれで」

 スカロンに背を向けた士郎は、そのまま逃げ出していった。
 士郎が去った後、スカロンは訝しげな顔をすると、鼻をヒクつかせる。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ