お弁当を持って会いに行こう
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忍の世界を生きる予定の身としては、この数秒は命取り。だけど、それぐらい私の目には信じられない光景が飛び込んできている。
忙しなく動く大人たち。見慣れない動きだなと思ったけど、その感想は当たり前。さっきから私よりも小さい子供を囲んで蹴る為に足を動かしているのだ。
「──ッ。何だあれ。何をやってるんだ、子供に!」
あれがいい年した大人のする事かッ!?
口々に、キツネが、とか。人殺し、とか。死ね、とか。とても子供に聞かせられる内容じゃない事を叫びながら、動かない子供に暴行を続ける。
「テン。変化だ」
《うむ。それと転写の術だろう?》
「うん」
印を組み、暗部の忍姿になる。面は今の天華をイメージして鳥の面。
準備を終えた私は、更に印を組み風を巻き起こした。
「なっ、なんだぁ?」
「このキツネがなにかしたんじゃ!?」
「化け物がっっ!!」
明らかに別の場所から吹いた風なのに、何故か口々にナルトの所為だと叫ぶ男たち。
一人の男が恐怖に顔を引き攣らせたまま、右足を持ち上げ勢いよく小さな身体を蹴り上げようとした。馬鹿じゃないだろうか。私がいるのに、そんな事させるわけがないだろうと遠慮なく針を投げつけた。
脅しなんかじゃない。勿論、貫通させる為だ。
男の足を貫通してもまだ余裕がある長針。
突如身に起こった痛みに、男は足を押さえつけ転げまわる。
「ぅああああああああ」
「なんだ! 何が起こった!?」
毒を塗ってないだけ有り難いと思えと思ってしまう思考回路には一時蓋をしながら、こういう集団をパニックに落とすのは容易いなぁ、なんて冷静に考える。
けれど更に追い討ちをかけるように、転写の術を発動させた。デジカメの術バージョンって所かな。紙に景色を写しこむんだけど、今写したのは勿論暴行現場だ。
それを空から放り投げ、なんて可愛い事はしない。紙にチャクラを練りこみ、男たちの顔に叩き付けた。
「ぶあっ」
「ぐっ」
ただの紙。しかしチャクラを練りこめば立派な凶器だ。
顔に叩き付けた時に頬や額を切ったみたいだけど、気にならない。この現場を見て、この程度の事で罪悪感は芽生えない。
しかし、ここまできて漸く第三者の存在を思いついたのか、呻き声をあげながら辺りを見回す男たちに、私は感情を読ませない淡々とした音を降らせた。
「里の禁を破った愚か者」
「「ッ!!」」
顔を押さえつけ、ナルトに対して暴行をしていた男を腕で払いのけ、鳥の面を見せる。
これ見よがしに見せた暗部の鳥面だったけど、どうやらちゃんと誤解してくれたらしい。その証拠に、私の全身を捉えた途端に歪んだ顔を真っ青なものへと変えた。
「なっ。人殺しを庇うのか!?」
「コイツはキツネだろう!!」
けれど、次の瞬間
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