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魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第275話「水面に舞う緋き月・前」
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撃の爪を、同じく爪の斬撃で相殺する。

「っ、ぁっ!!」

 獣の如き食らいつきで、神がさらに追撃してくる。
 緋雪は何とかその腕を掴み、それでも噛みついてきた所を膝で蹴り上げる。
 同時に、“天使”が攻撃してくるが、分身が飛び蹴りで吹き飛ばす。

「はぁっ!」

   ―――“L?vateinn(レーヴァテイン)

 蹴り上げられた神は、そのまま体を捻って蹴りを繰り出してくる。
 それを分身が受け止め、緋雪はその分身が相手していた“天使”を炎の大剣で薙ぎ払い、飛び退かせる。

「“破綻せよ、理よ(ツェアシュテールング)”!!」

 一瞬。ほんの一瞬の隙を突き、緋雪は“破壊の瞳”を使った。
 空間が爆ぜ、目晦まし且つ引き離しに成功する。
 即座に分身達が“天使”に突貫し、緋雪と神から分断する。
 緋雪自身も爆炎に突っ込み、同じく突き抜けてきた神と拳をぶつけあう。

「ひゃはははははははっ!!」

「くっ……!」

 狂気を伴った連撃を、緋雪は何とか捌く。
 神自身が狂っているためか、反動を知らない力で攻めてくる。
 人間で言えばリミッターの外れた力の行使に、緋雪も押されていた。

「(ここっ!)」

 優輝であれば、既に圧倒していただろう。
 だが、緋雪も何度も導王流を見てきた。
 それを利用し、神の攻撃を捌く。そして、同時にカウンターで顎からかち上げる。

「っづ……、っの!!」

 それでも蹴りが繰り出され、僅かに緋雪は仰け反る。
 負けじと緋雪も回し蹴りを放ち、神を吹き飛ばす。

「効かねぇなぁ!!」

「せぁっ!!」

   ―――“L?vateinn(レーヴァテイン)

 吹き飛んだ直後に、神が再び突貫してくる。
 それに合わせ、緋雪が大剣を繰り出す。

「そこだぁ!」

「ッ……!」

 その大剣を、弾かれるように受け止める事で上に跳躍される。
 そのまま、理力を鞭のように振るい、緋雪に攻撃してくる。
 すぐさま横に避け、追撃もバックステップで躱す。

「ッッ……!!」

「きひっ」

   ―――“Feuerrot Pfeil(フォイアァロート・プファイル)

 さらに追撃に爪の薙ぎと突きが繰り出され、それを緋雪は紙一重で避ける。
 そして、肉薄状態から矢を叩き込んだ。

「……やりづらいなぁ……」

 以前も戦ったことがある相手とはいえ、やはり相性が悪い。
 狂気を伴ったその立ち回りは、獣とも言い難いやりにくさがある。
 加え、前回は手加減していたのか、強くなった今でも拮抗した強さだ。
 さらに“狂気の性質”なだけあって、精神的攻撃はほぼ意味がない。
 “意志”で倒し切るにも、時間がか
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