第二章
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「見付からなかったけれど」
「うん、こうしてね」
まさにとだ、息子は母に自分が抱っこしているタローを見せて話した。
「いるよ」
「本当にタローね」
「わかるよね」
「ええ、この子は小さくてね」
母はタローの外見から話した。
「太ってるから」
「柴犬の中でもね」
「それでそうして抱っこしたらね」
このことは母が知っている特徴である。
「舌を思いきり出してへっへっへ、とするけれど」
「今そうしているね」
「間違いないわ」
母は我が子に答えた。
「その子はタローよ」
「戻って来てくれたんだね」
「心配させて」
母は笑顔でこの言葉を出した。
「何処行ってたのよ」
「そうだよね」
「全く、けれど戻って来たなら」
それならとだ、母はさらに言った。
「もうね」
「これからはだね」
「二度と脱走しない様にしないと、あとお父さんにも」
自分の夫にもというのだ。
「教えてあげないとね」
「うん、タローが帰って来たってね」
徳太も笑顔で答えた、そして実際にだった。
妻は夫に愛犬が帰って来たことをラインで連絡した、すると夫は喜びの言葉をすぐに返して仕事が終わるとだった。
家に飛んで帰った、そのうえでタローを見て言った。
「間違いないな」
「ええ、戻って来たわね」
「全く、何処に行っていたんだ」
父もこう言った。
「今まで」
「それはわからないわよね」
「タローにしかな、けれどな」
「ええ、戻って来てくれたわね」
「本当によかったよ、ただ」
夫はタローの頭を撫でながら言った。
「もう二度とな」
「こんなことにならない様にしないとね」
「もうこれからは散歩の時以外は家の中に入れておくか」
「そうして脱走しない様にするのね」
「最初からな」
室内飼いにしようというのだ。
「何しろ首輪取って脱走したからな」
「そうよね」
「首輪を無理して抜こうとするならな」
「それが今回がはじめてにしても」
妻もタローを心配そうに見ながら話す。
「やっぱりね」
「問題だからな」
「それでよね」
「ああ、ここはな」
真剣な顔での言葉だった。
「考えるか」
「それで室内飼いね」
「これからはな。それだと僕達はいつもタローといつも一緒だしな」
外の犬小屋にいるよりもというのだ。
「それにタローも蚊に刺されたり寒い思いをしないし」
「いいわね」
「そのこともあるし」
「これからは室内飼いね」
「あと万が一、またいなくなった時に備えて」
夫はさらに言った。
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