第三章
[8]前話
「犬どころか家族だってな」
「粗末にしてそうね」
「実際に育児放棄の話もあるしな」
「よくそんな人市議会議員になったわね」
「元々学校の先生で胡散臭い人達とつながりがあったからな」
「そうした人達の支持ね」
「それで通ってるんだろ、あと何もわかっていない人の票でな」
それもあってというのだ。
「そういうことだろうな」
「嫌なお話ね」
「ああ、けれど俺達は違うからな」
夫は妻に言った。
「これからもな」
「ゴンをちゃんと家族として飼ってね」
「そしてな」
「一緒に暮らしていくわね」
「ゴンがいてどれだけいいか」
家にというのだ。
「本当にな」
「そうよね、どれだけ明るい家になったか」
「それだけで幸せだしな」
「そうね、これからもね」
「ゴンと一緒だ」
夫は妻に笑顔で言った、そうして彼をまた撫でた。ゴンはそんな父を優しい目で見ていた。
次の日の朝夫は妻に笑顔で言った。
「行って来るな」
「行ってらっしゃい」
妻も笑顔で応えた。
「今朝も宜しくね」
「ゴンの散歩行って来るな」
「吉能も一緒よね」
「うん、一緒よ」
娘の声がした。
「ご飯食べて学校に行く前にね」
「いつも通りね」
「ゴンのお散歩行って来るわね」
「そうしてきてね」
「ゴン行こう」
吉能はゴンに笑顔で声をかけた、もうゴンは首輪にリードが付けられていてそのリードは父が持っている。
「今朝もね」
「ワンッ」
ゴンは一声鳴いて応えた、そうして父は娘と共に彼の散歩に出た。散歩の間も帰ってご飯を上げる時も一家は明るい笑顔でいた。
後日一家はゴンの前の家族であった村田家が離婚して奥さんは議員としての様々な汚職が問題になり辞職し後に逮捕されたと聞いた。だが誰もそのことについて深く考えることはなかった。ただ話を聞いて当然と思っただけだった。
犬は幸せを呼ぶ 完
2021・1・18
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