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犬は幸せを呼ぶ
第二章

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「家の中が前より明るくなったな」
「何か空気がね」
 それがというのだ。
「明るくなったわね」
「前も悪い雰囲気じゃなかったけれどな」
「さらによくなったわね」
「ああ」
 実際にとだ、夫は妻に答えた。
「そうなったな」
「そうよね」
「そう思うと」
 夫はこうも言った。
「ゴンを家族にしてよかったな」
「いつもゴンのこと話してね」
「明るくな」
「そのこともいいわね」
「本当にな、ただ」
「ただ?」
「ゴンを捨てた人達は結局ゴンを育てられなかったんだな」
 ゴンを見ながら深刻な顔で述べた。
「それで捨てたんだな」
「犬も人間と同じだからね」
「ちゃんと躾けたらな」
「トイレのことも覚えて」
「悪いこともしなくなるからな」
「そうよね。自分がそういうことしないで悪いことするから捨てるとか」
「駄目だな」
 夫の言葉は厳しいものだった。
「本当に」
「どうもね」
 妻はゴンを見ながら夫に話した。
「この子村田さんのところにいたらしいわ、市会議員の」
「あの村田さんか」
「そう、あの人ね」
 女性の市会議員である、黒のショートヘアでいつも白い服を着ていて険しい人相で駝鳥に無理矢理に歯を付けた様な顔をしている。
「いつも誰かの悪口や文句を言っている」
「あの人評判悪いぞ」
「胡散臭い市民団体とお付き合いあるわね」
「汚職とかの話題が絶えないぞ」
「そんな人よね」
「ああ、奥さんってあの人か」
「あの人だったらね」
 それこそとだ、妻も言った。
「犬が気に入らなかったら」
「平気で捨てるな」
「そうよね」
「大体わかった、あんな人だったらな」
 それこそというのだ。
「もうな」
「お家はあの人のやりたい放題らしいし」
「ゴンだってな」
「まともに育てられないわね」
「自分しかない人だからな」
 その村田という女はというのだ。
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