第59話 エル=ファシル星域会戦 その3
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」
それはあまりにも仕事量が多すぎないか。俺は思わず助けを求め、司令部の面々に視線を向けるとみな肩を竦めて苦笑いだ。同志愛の欠片もない。それでも今後のこともある、精いっぱい抵抗しなければ。
「戦後処理指導となりますと、やはり地位・権限が高いものが行うべきではないでしょうか?」
「わたしは戦力の再編成と星系宙域掌握で本当は手が足りないくらいなんだ。申し訳ないな、少佐」
「惑星地上の情報について、小官は作戦情報以外何も知りません」
「心配しなくていいよ、少佐。君の端末にできうる限りの情報を送る。それに特別に情報部が持つ自走式中型三次元端末を貸し出すから、それを使って地上で頑張ってくれ」
「……恐らく残留資産集計もあるかと」
「空間戦闘終了後、一番忙しい部署は補給部だと君は知らないのか? 地上戦が終わり次第、手を貸してやる。だから今は君が一人で行きたまえ」
「……」
「小官は司令官閣下の副官ですから流石にお手伝いはできません」
「あの……」
「地上戦に司令部従卒を連れていくつもりはないよ。ここで司令部のオジサン達の面倒を見てあげてくれ」
付いてきそうなブライトウェル嬢に、司令部に対する皮肉を交えて応じると、俺は溜息をついた。地上軍将兵に対し俺は特に複雑な感情は抱いていないが、爺様が与えてきた任務は連絡将校の職権を些か超えている。せめて後方を担当できる人間が最低でも数名必要だ。
「期限は、どのくらいでしょうか?」
「まずありえないことと思うが、帝国艦隊がエル=ファシル星系に再侵略を試みることがあれば、すぐに呼び戻す。それまでは作戦第三段階終了までとする。まず一箇月じゃな」
艦隊戦闘が星系に進入してから約四〇時間。戦闘時間だけで言えば僅か一〇時間。それに比べればなんと長いことか。だたし俺が戦略研究科出身でキャリアとして艦隊司令官を目指す以上、陸戦を現場で学べる機会は恐らくもうないと考えれば、これも爺様の親心なのだろう。
「微力を尽くします。ただし、民生の引継ぎ準備と言いましても、その職権区分を地上軍側とする必要があります。本来は全戦闘終了後にするものですので、その前の調査ということでよろしいでしょうか?」
「よろしい。貴官としての最善を尽くしたまえ」
爺様の承認に俺は敬礼で応えると、早速モンティージャ中佐が俺を艦内にある情報解析室に連れていき、そこで自走式の分析端末を譲り受けた。ヤマトのアナライザーのようなコメディ基調の次走マシンを期待していたが、言ってみれば移動する中型トランク以外のなにものでもなかった。ただし性能は将兵に基準配備される携帯端末など足元にも及ばない。
「これが一個あれば野戦司令部ができるんじゃないんですか?」
膨大なデータ保存量、短距離超光速通信設備、確率的な解析能力、無人機等
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