暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギア無印編
魔法使いの帰省・颯人の場合
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事で過去の事などどうでもいいとすら思っていた。振り返ってもどうにもならないし、今の彼にとって大事なのは奏とのこれからなのだから。

「そっか……そうだよな。一度は帰っておかないとな。次の日曜でいいか?」
「あぁ、それでいいよ。悪いね、いきなりこんな事言って」
「いや、それを言うなら俺の方だ。悪いな、奏」
「気にすんなって」

 こうして日曜日に出かける約束を取り付けた颯人。

 それから数日経ち、約束の日曜日はあっと言う間にやって来た。

 颯人が待ち合わせ場所にマシンウィンガーを背に待っていると、変装した私服姿の奏がやってきた。

「よ、颯人! 待たせたか?」
「いや、そんなんでもねえから気にすんな。んじゃ、行くか」

 自分のヘルメットを被った颯人は、奏に予備のヘルメットを渡しマシンウィンガーに跨った。それに続いて奏が颯人の後ろに乗り彼の腰に手を回すと、颯人はマシンウィンガーを走らせた。

 目指すはもう五年ぶりとなる、懐かしき我が家。もう帰る事など等に忘れていた、子供の頃の思い出が眠る地へ…………。




***




 五年も経てば流石に街並みも少しは変わる。何よりあの頃はバイクに乗っての移動なんてしていなかったのだから、途中何度か道を確認する為に停車を余儀なくされていた。

 それでも、ある程度近付けば記憶に残った街並みが地図となり自然とハンドルを切らせた。初めて見る騒がしい街並みから、見覚えのある閑静な住宅街へと入った。
 そして遂に、颯人は五年ぶりに我が家へと帰宅していた。

「ふぅ……着いたか」

 颯人は五年ぶりに見る我が家を、感慨深げに見上げていた。魔法使いとなって戦う事を決めてから、もう帰る事などすっかり忘れていた我が家である。住む者が居なくなっても、尚帰宅を待ってくれていたその姿に颯人は柄にもなく目頭が熱くなるのを感じた。

「どした、颯人? お前でも懐かしさに泣くことがあるのか?」
「ばっか、誰が泣いたってんだよ。それより、ありゃ何なんだよ?」

 奏の前で無様に無く顔を見られるのは癪だったので、ポーカーフェイスを保ちながら颯人はある場所を指差した。
 そこにあったのは空き地。嘗て奏が住んでいた、天羽家の宅があった筈の場所だ。颯人の記憶通りならそこには、明星家と仲が良かった奏の家があった筈である。

「何って……帰る奴の居ない家なんて残しててもしょうがないだろ。あると色々思い出しちゃって辛くなるし」

 奏は二課に所属し、装者として戦う事を決めてからそれまで住んでいた家を引き払っていた。戻るつもりは無かったし、迎えてくれる家族の居ない家に帰る事は出来なかった。

 その答えに颯人は、何かを言おうとして口を噤んだ。これは奏の問題であり、彼
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