第九幕その三
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「金色でね」
「いいわよね」
「楓も銀杏も」
そのどちらもというのです。
「凄くね」
「奇麗よね」
「そうよね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「今歩いていてとても幸せだよ」
「奇麗なものを観られて」
「お花見もいいけれど」
「紅葉狩りもいいわね」
「うん、しかも小川にその楓と銀杏の葉が流れていて」
木挽きの馬はそちらも観ました。
「こちらもいいね」
「銀色に流れる小川の上をね」
「紅と金色があって」
それでというのです。
「まるで絵みたいだよ」
「これを和歌に詠っていたの」
「そうだったんだね」
「和歌のことは知ってるわよね、木挽きの馬も」
「うん、日本の詩の一つでね」
「それに詠ってもいたのよ」
そうだったというのです。
「昔の日本の人達は」
「美的感覚がいいわね」
「確かにね」
「桜もいいけれど」
ガラスの猫も今の自分達の周りの景色を観ながら言いました。
「楓や銀杏もね」
「素敵でしょ」
「私達は運がいいわね」
「今こうしたものを観られて」
「本当にね、確かにこれは和歌の場面ね」
ガラスの猫はこうも言いました。
「とても素敵だわ」
「私もそう思うわ」
「そうよね、心の栄養にもなるわ」
「貴女と木挽きの馬は食べないけれど」
「栄養は必要なのよ」
「心の栄養がね」
「心の栄養がないと」
それこそというのです。
「誰もが動けなくなるわ」
「心が動けなくなるとね」
「身体もでしょ」
「ええ、もう心が折れたりしたらっていうわね」
「もうそれでね」
幾ら身体がよくてもです。
「動けなくなるでしょ」
「それと同じね」
「そう、だからね」
「心の栄養は必要で」
「食べる必要がなくても」
それでもというのです。
「それでもね」
「心の栄養は必要で」
「それでね」
だからだというのです。
「私も木挽きの馬もよ」
「心の栄養は捕球しているのね」
「そうしているのよ」
「そうなんだ、だから僕もね」
木挽きの馬も言ってきました。
「今楽しんでね」
「心の栄養を摂っているのね」
「そうなんだ」
「そういうことね、それじゃあね」
「今は楽しむよ」
紅葉狩りをと言うのです、こうお話してでした。
皆は紅と黄金の世界を歩いていってそうしてでした、目の前に日本風の茶室を観ました。その茶室を観て木挽きの馬は言いました。
「あの茶室だけれど」
「誰かいるの?」
「僕が行き来で観た時はいなかったよ」
黄金の羊を探したその時にです。
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