117 残された手紙
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ままにさせてはならないと思い、そして赤軍との同盟に対して自分達も対抗策を練った。だが、戦いがどちらの世であろうと更に激しくなる。
(もうすぐ、また会えそうですわね、山田かよ子ちゃん・・・)
フローレンスはそう思いながら、書類整理を進めた。
三河口は奏子と電話をしていた。
「何、あの帰りに藤木君を見たって?」
『うん、かず子ちゃんの家から走っていく所見たのよ』
「つまり、それからどこかへいなくなったって事か?」
『かず子ちゃんが藤木君から手紙を貰ったって言ってたわ』
「手紙?」
三河口は動揺した。
『君を諦める、とか、もう二度と会わない、とか書いてあったって』
「そうか、ありがとう。それじゃ、よいお年を」
三河口は電話を切った。
(って、よいお年になれるのかね・・・)
三河口は赤軍も、異世界の敵も今まで以上に動くと警戒していた。そして大きな戦いが始まると予感していた。激動の1975年となると。
杉山は年賀状を書き終えてポストに出していた。親友の大野へは勿論、様々なクラスメイト、その中には自分を好きになっている女子への年賀状もあった。
(負けるわけにはいかねえよな・・・)
杉山はポケットの中にある雷の石を持って思う。必ず元の日常を取り戻すと。そしてふと、あのおっちょこちょいの女子が頭に浮かんだ。
かよ子は買い物を済ませた後、急いで笹山の家へと向かった。
「さ、笹山さん・・・!」
「あ、山田さん、入って」
かよ子は笹山の家に入り、彼女の部屋へと連れて行かれた。そして笹山は一通の手紙を出してかよ子に見せた。かよ子はその手紙を読む。
笹山さん
この前は卑怯な事して本当にすみませんでした。こんな卑怯者なんかじゃ笹山さんは好きになれないよね。僕にとって君は過去の人なんだ。もう君の前には顔を出さないので許してください。僕も君の事は忘れるよう努力するよ。じゃあね。
藤木
かよ子は読み終わると手紙を笹山に返す。
「やっぱり、あの野良犬の事で藤木君に冷たく当たったからいけなかったのかしらって今思うの。もっと早く許してあげれば・・・」
「笹山さん・・・。大丈夫だよ、きっと藤木君見つかるよ」
「うん・・・」
そしてかよ子は笹山の家を後にした。これはただの失踪なのか。それとも赤軍や戦争を正義とする世界の人間が絡んでいるのか。かよ子にはまだ解らなかった。
(もし私も杉山君がいなくなったら、笹山さんみたいにとても寂しくなるのかな・・・?いや、そうだよね・・・?)
かよ子は家に帰り、正月に向けての準備を進めるのだった。そんな夕方、誰かが山田家に入って来た。
「こんにちは」
「あら、健君じゃない」
訪れたのは三河口だった。母が出迎える。
「かよちゃん、いますか?」
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