第五百九十七話 毎日すべきことその二
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「本当に」
「それが面白いね」
「そうだな、しかし俺も日本語がわかってきたな」
今二人は銀河語で話しているが銀河語は日本語の要素も多く入っている。それでウイスキーをウイスキイとしたのもわかるのだ。
「やけに難しい言語だがな」
「それで言われるよ」
「文字が一つじゃないからな」
「平仮名に片仮名、漢字でね」
「銀河語はアルファベットに漢字だからな」
「アメリカ英語に中国語、スペイン語、日本語にロシア語を中心として考えられてね」
そこにエスペラント語も入っている。
「それで造られた言語でね」
「時代と共に定着したな」
「そうした言語でね」
「連合の公用語だな」
「うん、そうだけれど」
尚漢字は略体字である。
「日本にいるとね」
「日本語も使うからな」
「フックもわかってきたんだね」
「最初はわからなかった」
それも全くだった。
「何もな」
「そうだったんだね」
「けれど聞いているうちにな」
「わかってきたんだ」
「ああ、それで今の違いもな」
ウイスキーとウイスキイのそれもというのだ。
「わかってきた」
「少しの違いで同じものでもね」
「受ける印象が違うな」
「それがわかるとね」
どうかとだ、菅は自分のコップにウイスキーを入れつつ話した。
「その言語がわかってきた」
「そういうことだな」
「そうだと思うよ」
「そうなんだな」
「うん、それでね」
菅は自分が入れたウイスキーを飲みつつフックにさらに話した。
「坂口安吾が言っていたよ」
「日本の二十世紀の作家だったな」
「白痴とか堕落論とか書いたね」
「かなり無茶な人生を送ったそうだな」
「無頼派に属していてね」
そしてだったのだ。
「敢えて堕落してみせようってね」
「なっていた人だな」
「それでお酒も麻薬もやっていたけれど」
「麻薬もか」
「当時は合法だったから」
顔を顰めさせたフックにこのことはフォローした。
「それはいいんだ」
「そうか」
「それでお酒、ウイスキーはね」
「ウイスキイと書いていたんだな」
「それを無理して飲んでいたそうだよ」
「酒をか」
「うん、何でも我慢して息を飲んでね」
そうしてだったという、これは坂口安吾自身が自分の作品で書いている。
「飲んでいたそうだよ」
「味あわずにか」
「そうらしいよ」
「よくない飲み方だな」
フックはブランデーを飲んで味わいつつ言った。
「それは」
「そうだよね」
「酒は楽しんで飲むものだ」
「本当にそうだね」
「そうして飲まないとな」
「身体によくないよ」
菅もこう言った。
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