第六十二話 二人乗りその九
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「その人のお母さんは誰も寄り付かないのよね」
「妹さん以外は」
「一緒に暮らしてないのよね」
「はい、ただ悪影響受けたでしょうか」
「そうじゃないの？」
私が見る限りはです。
「それか代々のいんねんがね」
「僕にきていますか」
「そう、それでね」
「僕の癖性分も出ていますか」
「そうじゃないかしら、だからそんな悪い癖性分はね」
「切ることですね」
「そうしてね、もう阿波野君の代でね」
こう阿波野君に言いました。
「何があっても」
「切るべきものですか」
「そうなんだと思うから」
「いんねんを切って」
「悪いものをなくしてね」
「そうしないと駄目ですね」
「そう、もう本当にね」
阿波野君の横顔を観つつ言いました、こうして見ると普通よりもいい感じのお顔かしらとも思いました。
そんなことを思いつつ阿波野君にこうも言いました。
「気をつけてね」
「努力してですね」
「そうしてね」
「かなり難しくても」
「そうしてね、それと」
ここでお話を変えることにしました、こうしたお話ばかりしても気持ち的にもあまりよくないと思ってです。
「この公園どうかしら」
「この公園ですね」
「ええ、どうかしら」
「いい公園ですね」
阿波野君は私ににこりと笑って答えました。
「ここは」
「そうでしょ、だから私も時間がある時はね」
本当にそうした時はです。
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