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オズの木挽きの馬
第八幕その八

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「あたることがね」
「怖くてなのね」
「皆気をつけていたんだね」
「そうだったの、私も好きだけれど」
 それでもというのです。
「普通のお魚みたいにはね」
「食べられないんだね」
「そうなの、お鍋にしても美味しくて」
 恵梨香もちゃんこ鍋のお話をします。
「お刺身にしても唐揚げにしてもね」
「美味しいんだね」
 木挽きの馬は恵梨香に聞きました。
「それもかなり」
「そんな素敵なお魚なのに」
「毒があって」
「外の世界ではね」
「普通には食べられないんだ」
「よく食べても」 
 それでもというのです。
「そうなの」
「そうなんだね」
「それとね」
 恵梨香はさらに言いました。
「こちらのお魚は毒はないけれど」
「どんなお魚かな」
「鮟鱇よ」
「ああ、あのお口のとても大きなお魚だね」
「頭に光るものが付いた」
「提灯みたいにね」
「あのお魚も凄く美味しいの」
 そうだというのです。
「外見は怖いけれど」
「それでもだね」
「お鍋にしても唐揚げにしても美味しくて肝も」
「肝臓だね」
「物凄く美味しいのよ」
 そうだというのです。
「このお魚も」
「だから恵梨香も好きなんだね」
「そうなの、鮟鱇もね」
「成程ね」
 木挽きの馬は恵梨香の言葉に頷きました、そんなお話をしている間に森に入ってその間にある道を進んでいきましたが。
 ここで髷を結って草色の忍装束の上にマントを羽織った格好いいお顔立ちの人に木の上から声をかけられました。
「あんた達何処に行くんだい?」
「牧場の羊を捕まえて牧場に戻しに行くんだ」
 木挽きの馬がその人に答えました。
「そうするんだ」
「ああ、あの黄金の毛の羊か」
 木の上に立っている忍者さんは木挽きの馬の言葉を聞いて言いました。
「そうか」
「知ってるんだ」
「前に修行中に見たからな」 
 それでというのです。
「わしも知ってるぞ」
「そうなんだね」
「ああ、わしは嘘は言わないからな」 
 忍者さんは笑ってこうも言いました。
「真田十勇士の誇りにかけてな」
「貴方も十勇士なんだ」
「そうだ、穴山小助だ」
 忍者さんは笑って名乗りました。
「十勇士一の鉄砲の使い手さ」
「鉄砲の話をしたら出て来たね」
 木挽きの馬はさっきの河豚のお話をここで思い出しました。
「鉄砲を使う人が」
「鉄砲?」
「うん、河豚がそう言われると」
「ほう、河豚か」
 河豚と聞いてです、小助さんは。 
 皆のところに軽やかに降りてきて同じ高さになって言ってきました。
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