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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
船団の国〜アスターテ連邦共和国〜(上)
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炭酸水だけだ。
「まぁ許してくれや、俺たちは議会と役所周りで精いっぱいよ」
それはそうだろう、哨戒部隊や情報観測網があるにしてもここは【交戦星域】なのだから、というのは皆わかっている、自分たちだってほんの数か月前に船団ごとアスターテからエル・ファシルまで避難したばかりである。
距離があると特に下院議員の地元回りと同様に同盟弁務官はハイネセンポリスを駆け回り、同選挙区の下院議員や政府とのやり取りが主軸になる。
この辺りは二院制と任期の違い――下院の任期はわずか2年であり地元回りの比重が同盟弁務官よりも必然的に高くなるのだ――が役割分担を明確にしている利点であろう。
「そうやってると足を掬われますぜ!最近は特に妙になってきやがった」
「あぁ反戦政党が議席獲得ってなぁ聞いたよ」
ほんの数議席とはいえ――前代未聞である。リヴォフが興味を示すと一人がきまり悪そうに頭を掻く。
「‥‥‥平和への箱舟とかいう連中も、話してみると悪い奴らじゃねぇんですよ。都会のほうから越してきた人らが中心みたいですからまぁ、そういう目的なのでしょうけど」
「平和への箱舟、あぁそういう名前だったか」
反戦市民連合の下部組織である。議会において国政政党とは異なる名を名乗るものも多い――というよりも成り立ちからして国民共和党やら自由党やら労農連帯党やら国政に参加するために生まれたのではなく、地域自治の為に結成された政治勢力が合流する事が多い。
つまりは――
「地元の仲間連で知っている者もいるんだろうね」
「あぁそれはもう‥‥航路の再清掃に出た連中に差し入れをしながらあれこれ話をしてましたもんで」
「ヴァンフリートの連中とも話とりましたなぁ、将校さんたちが目ぇ光らせてましたわ」
「ほう、それはそれは」
いやまぁそれはそうだろう。単純な浸透も面倒な話であるし、相手がうっかり故郷の否定などをしてつかみ合いになっても面倒だ。何であれ迷惑千万には変わりない。
「伸びそうかね?」
「難しいでしょうなぁ。人は集まっとりますがみんなわかっとりますよ――ここら辺に出る海賊はみんな”人狩り貴族”だって」
反戦といえるほど立派な軍隊じゃねえよ、帝国ってなぁよ、そう吐き捨てるのは運輸船の船員の老人だ。
「あぁ――そうだろうな」
実際のところそれは統計があるわけではない。だが同盟軍の情報部が調べる限り、正規軍の通商破壊作戦には門閥貴族の小貴族や零細貴族が参加することが多い傾向にあるのは事実のようだ、そして彼らには”私掠”の権利が認められている。
だから帝国が小規模でうろつかせている軍艦を彼らは非常に恐れる。ヤン・ウェンリーが英雄となった時もエル・ファシルの人間は慌てて逃げ出そうとした理由はそこにある。
彼らがやろうとして
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