暁 〜小説投稿サイト〜
同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
船団の国〜アスターテ連邦共和国〜(上)
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苦い現実だ。
「俺たちの最初の船団は――そうだった、船団の国は他の連中を助けるための船団だった」
「それが今じゃなぁ――」
「『
星の海の遊牧民
(
スペース・ノマド
)
の異文化』に触れましょう!」
甲高い声で一人がおどけた”ハイソ”な声を上げる。
「政府の弱腰による『
船舶難民
(
シップスピープル
)
』に何を言うか!」
ドンと机を叩き一人がわざとらしくマッチョな素振りでふん、と腕を組む。
‥‥‥はぁ、と重苦しいため息が響いた。
「先生」「あぁ‥‥‥」
「ウチに”観光”にくる連中は大抵、政治をやっちょりますよ。政治は大事です、わかりますよ、わかりますよ、でも――」
もごもご、ときまり悪そうに口を動かす。
「俺たちは――同盟の人間だけど、アスターテの人間ですぜ。【後方】の都合を多数決で押しつけられるようじゃ‥‥‥」
我々が船で暮らしているのは要塞建設のために帝国軍の前進配備が始まり、要塞が完成し追いやられたとしても――【もう間もなく本土に戻ると信じているからだ。】というのも完全なお題目ではない。政治があらゆる階級の人々の営みから生み出す感情と利害に依拠するのあれば【お題目】にも相応の裏付けはあるものだ。
むろん不自然を通すには生臭い事情もある、この宙域に主権を保つだけで流通経路だけで他の【交戦星域】諸邦を結ぶ権益があること――係争地であった理由は今でも残っている。
そして軍からすれば帝国軍を無理にここで食い止めるよりは引き込みたいが、かといって長期滞在されると困る、といった扱いに困る要地であった(前述の通り、民間経済からしてもここを占拠されるのは困るという点で一致している)
かくして同盟政府の支援とアスターテ連邦政府の意図は一致し、船団の国が生まれたのだ。その事情を知るものであれば後方の都合で生まれた国だろう、と言いたくなる気持ちもリヴォフは――欠片も納得はしていないが――理解している。
だがそれはリヴォフが同盟軍の軍兵站の専門家として恵まれた扱いを受け、高度の教育を受けた出自があるからであるとも理解している。彼はすでに議会政治家へと転身したのだから。
「とてもよくわかる、だからこそ公定単価の値下げには反対してきたし、ロボス元帥を前線統括に、と推してきたのだがな‥‥」
ふぅ、とため息をつく。
「議員の名前を出したやつがいたら話してくれ、俺からも言ってやる」
ペルーズは何をやっとるんだ、と古参下院議員について尋ねると、リヴォフさんよりもよく来てくれますよう、ほっとかれると寂しいじゃないですかぁ、と出来上がった役員(男)がしなを作り、周囲がゲラゲラと笑う。
「なんだよ、俺が来ると邪険にするのは照れだったんじゃのかよ!」
などと言いながらやんわりと押しやる。リヴォフの飲み物は
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