暁 〜小説投稿サイト〜
同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
船団の国〜アスターテ連邦共和国〜(上)
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『えぇそれではまた後日』
通信の向こうにいるアリシアが姿を消す。
リヴォフはうん、と背を伸ばした。アリシアとは同じ星系であるが距離は離れている。
別の大型植民艦、アスターテ連邦共和国首都、あるいは総旗艦とも呼ばれる。ビュブロス・コミューン旗艦『ビュブロス』の弁務官事務所にリヴォフはいた。
「‥‥この案件はドーソンが実務を仕切っているのならば調べるよりも直接あたるほうが良い、考えることは彼女に任せておくか」
アリシアのことは若いころから知っている古なじみだ。彼女はやり手の女性弁護士として鳴らしており、女性兵士の増加に伴い悪化したハラスメント問題に取り組んだことでティアマトの保守的な(すなわち反帝国で親軍的)女性票を固めて同盟弁務官にまで政治キャリアを積み上げた女傑である。
彼女は頭が切れる、何かしら策を考え付くだろう。
「ルンビーニはリッツ教授とエオウィン女史の専門分野となると――ふむう」
国家中枢に戻るまでは特にやれることはないな、と結論を出した。どの道、ホアンがこちらに情報を漏らしたのは選挙区への戻りの時を狙って行ったのだ。あれこれ考えても大してできることはないと見切っている。
あとは若いもんに任せるか、とリヴォフはにたりと笑った。
「弁務官として仕事をするか!!」
「おい!この後の予定に――」
「夜にアスターテ運輸・郵政労働組合の打ち上げを入れてます」
アスターテ事務所を取り仕切る公設秘書がにこりと笑って会釈した。彼はアスターテ最大の包括政党『接舷せよ、アスターテ』の生え抜きである。
ふむう、と鼻を擦る。
「俺はまだ何も言ってねぇけどなぁ」
「支持者回りは必要です、特に今は」
戦場になったばかりである、バーラトの事情を知るものが顔を出して安心させる、のは当たり前であるし、”リヴォフ”であればそうするべきだと自分でイメージを作ってきたではないか。
「そりゃそうだわな」
――陰謀、暗躍、工作、どうにもかまけすぎている。年を食ってもバーラトに長居すると影響されるらしい、リヴォフは頬を掻いた。
「助かった、悪い」
「アスターテ事務所を守る私の役目です」
すました顔であるが自慢げに鼻を引くつかせている。
気が利くし頭が回るが腹芸ができない、もうちょい修行させてから出馬だなぁ、とリヴォフは評価を下しつつ、助かるよ、と笑いかけた。
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アスターテは【交戦星域】ではあるがバーラトやらエル・ファシルやらティアマトやらパランティアやら、あちらこちらからの入植で生まれた国である。
アルレスハイムに次ぐ新たな国の一つであり、元々はイゼルローン回廊周辺の各星域へつながる航路の要衝に位置する。
――ではなぜ開拓されなかったのか、といえば最初はテラフォーミン
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