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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第66話:奇跡を起こす者
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て颯人の放つ輝きもそれに負けてはいない。
 今の2人の様子を表現するとすれば、まるで互いの愛が共鳴し合って倍どころか累乗で力を増しているかのようであった。

「『ハァァァァァァァッ!!』」

 二筋の光が月の欠片に突き刺さる。月の欠片はその地点から罅割れ、砕ける瞬間凄まじい輝きを放ち小さな欠片になって大部分が燃え尽きる。
 辛うじて地球に届いた欠片も、その小ささから全て大気圏で燃え尽き地表からはまるで流星群の様に見えた。

 地球に残った翼や響ら二課の仲間達は、降り注ぐ月の欠片を不安そうな目で見ていた。

「奏……」
「颯人さん……奏さん……」
「…………ん? おい、あれ!」

 装者3人が颯人と奏の身を案じていた時、不意にクリスが何かに気付き空を指差す。

 そこには一つだけ燃え尽きず地表に落下してくる月の欠片があった。
 颯人と奏の頑張りを無駄にしてなるものかと、3人と透がその欠片を砕こうとした時──────

「ッ!? 待て4人共!!」

 弦十郎が何かに気付き待ったを掛けた。それと同時に、月の欠片だと思っていた物から赤い翼が広がり、羽搏くと周りを包んでいた炎が掻き消え2人の人影が姿を現した。

 炎が消え、地表に降り立つ2人の人影。それは月の欠片を破壊し、無事に帰ってきた颯人と奏であった。降り立つと同時に変身が解けた2人は、元の姿でその場に背中から倒れ込む。

「だぁぁぁ! 終わったぁぁぁぁ! 行きより帰りの方が大変だったぞ!」
「大気圏突入の摩擦熱甘く見てたね。つか魔法で帰れなかったのか?」
「出来りゃやってる。魔力が持つか不安だったんだよ」
「肝心なところで頼りないな」
「帰り俺に全部任せきりだったくせに偉そうに言うな」
「アタシが来なけりゃ月の欠片壊せなかっただろ」
「俺は待ってろって言った筈だ。子供だって留守番位できるぞ」

「……何だと!?」
「やるか!?」

 ガバリと起き上がり、互いに睨み合う2人だったが、それも長くは続かず直ぐに表情を柔らかくし再び倒れ込む。

 遠くから響達が2人を心配して近付いてくる気配を感じるが、もう起き上がる気力も無い。

「終わったな」
「そうだな…………ところで奏よ。本当の所お前どうだったんだよ?」
「どうだったって?」
「俺が1人で月の欠片何とかするって行った後。お前もしかして泣いてた?」

 颯人の指摘に奏が再びガバリと起き上がる。その顔は先程と違って赤く染まっている。

「な、何をッ!?」
「気付かないと思ったか? 宇宙で俺に追いついた時、奏目尻に涙ついてたぞ。本当は心配と不安で泣いたりしたんじゃないのか?」

 言いながら奏の顔を見れば、奏は目を思いっきり泳がせ口をアワアワと震わせている。
 それを
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