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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第66話:奇跡を起こす者
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向けて落下しようとしている月の欠片があった。
朔也の計算で、このままでは確実にあれは地球に落下する。大きさから考えて、落下すれば地球はただでは済まない。
「後はあれを何とかしないとな。て事でウィズ、ん」
「…………何だこの手は?」
「何か指輪無いの?」
さも当然の様に指輪を要求する颯人に、ウィズは仮面の奥で彼をジトっと睨み付けた。
「お前は私をどこぞの青狸と間違えているのではないか?」
「んな事言ってる場合かよ。何とかしねえとならねえんだ。それともウィズが1人で何とかしてくれんのか?」
ウィズは大きく溜め息を吐くと懐に手を突っ込み、一つの指輪を颯人に渡した。
「こいつを使え。今のお前なら使えるだろう」
「ふ〜ん……どんな効果?」
「使えば分かる」
「それは試作段階の指輪です。恐らく一度しか使えませんからそのつもりで使ってください」
「はいよっと」
〈スペシャルラッシュ、プリーズ! フレイム! ウォーター! ハリケーン! ランド!〉
颯人が指輪を使うと、ウィザードの鎧に変化が起こった。先程ヒュドラファントムにトドメを刺す際に使用した胸のドラゴンの頭部に、両腕には鋭い爪の生えた赤い手甲、背中には赤い翼、腰の後ろには赤い尻尾が装着された。
変化した己の姿に、颯人は感心した声を上げた。
「へぇ! こいつはスゲェ!」
「まぁホープの全力を扱えるのなら出来ても不思議ではないな。その状態なら欠片の破壊までは出来なくても、軌道を逸らすくらいなら出来るだろう。さっさと行ってこい」
ぶっきらぼうに背中を押されて、しかし颯人は特に気分を悪くした様子も無く飛び立とうとする。
その彼の背に奏達が声を掛ける。
「颯人!?」
「1人でなんて無茶ですよ!?」
「私達も!」
自分も共に行こうとする奏達だったが、颯人はそれを制止した。
「待て待て待て、全員で行くのは不味い。ワイズマンが戻ってこないとは限らねえんだ。あいつが大群連れて戻ってきた時の為に、皆はここに居てくれ」
颯人の言う事には一理あった。まだ明確な敵が残っている以上、一つの事に全戦力を費やすことは出来ない。
「安心しろ。すぐに帰ってくるからよ」
そう言って颯人は奏達に背を向けると、背中の翼で飛び立って一直線に月の欠片へと飛翔した。
成層圏を抜けそうになった辺りで空気の事が少し不安になったが、特に問題なく大気圏を抜けれて内心で安堵した。
猛スピードで飛翔し、月の欠片が大分大きく見えるところまで来た。
さてそろそろ月の欠片の軌道をズラす為に気合を入れようとした瞬間、颯人の耳に歌声が響いた。
それは彼が世界で一番愛する、彼にとって最高の歌姫の声。
「────はぁ!?
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