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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第66話:奇跡を起こす者
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う事ではなく相手を殺す事を選択した結果生み出された人間だけを殺す兵器。それがノイズの正体だった。

 全てを話し終え、黙るフィーネ。その彼女に真っ先に声を掛けたのは、誰あろう響であった。

「きっとわたしたち、分かり合えます」
「聞いていただろう……ノイズを作り出したのは、先史文明期の人間。統一言語を失った我々は、手を繋ぐ事よりも、相手を殺す事を求めた」

 瓦礫から腰を上げ、フィーネは装者達と魔法使い達、そして二課の面々に背を向け夕日に向け歩いていく。
 その後ろ姿からは、これ以上無い程明確な拒絶の意思を感じる。

「そんな人間が、分かり合えるものか」
「……あぁ、嫉妬か」
「何がだ、颯人?」

 フィーネの言葉に颯人が徐に呟く。その言葉の意味が分からず奏が首を傾げると、颯人は透とクリスを交互に見ながら答えた。

「この2人はフィーネの言う事の真逆を体現してる。透が言葉で想いを伝えられないのにも関わらず、この2人はお互いを理解できてる。会話に言葉を必要としないくらいに」

 颯人の言葉にフィーネが拳をきつく握りしめる。それは彼の言葉が正解である事の何よりの証拠だった。

「そんな……そんな理由であたしと透をあいつ等に売ったのか?」
「…………勘違いするな。そんなのは明星 颯人の下らぬ深読みだ。私はただ、目的の為に最善だと思える選択をしただけに過ぎない」

 反論するフィーネだったが、彼女は顔を背けたままだ。もしかするとそれは、表情から嘘を颯人に見抜かれるかもしれないと警戒しているからかもしれない。

「人が言葉よりも強く繋がれる事、分からないわたし達じゃありません。だから了子さんももう一度だけ、信じてみませんか?」

 響がそう言ってフィーネに歩み寄る。

 それに対してフィーネは──────

「ふぅ…………でやああぁぁぁぁぁっ!」

 溜め息を一つ吐き、何かを決意したかのように目を見開き振り返ると、鎖鞭を勢いよく伸ばした。
 不意打ちに等しい一撃であったが、鎖鞭の先に居た響は難無く交わし拳をフィーネの胸元で寸止めする。

 だがフィーネの目的は、響自身ではなかった。

「私のぉぉっ! 勝ちだぁぁぁぁッ!」
「ッ!? そっちか!」
「え、あ!?」

 鎖鞭は信じられない速度で空へとどんどん伸びていく。その先には、砕けた月の欠片がある。
 地球から月への距離を考えれば、僅かでも角度がズレれば無駄に終わるその行動。しかし技術か執念か、フィーネの放った鎖鞭は真っ直ぐ月の欠片に突き刺さった。
 手応えでそれを感じたフィーネは、足元の地面を砕きながら月の欠片が刺さった鎖鞭を背負い投げた。

 鎖鞭が抜け地上に戻ってくる頃には、月の欠片はその軌道を地球へと向けていた。


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