生きることそのものが罪
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去があっただろう。家族がいるであろう。
大切な人がいるであろう人たち。
何も知らないで、生きていた人たち。
「……ごめん」
友奈の言葉に、千翼は口をぽかんと開けていた。
「千翼くんもサーヴァントなんだよね……? だったら、前の世界でも……死んじゃったんだよね」
「……うん。友奈さんも?」
「私がいた世界はね。……もう、壊れちゃったんだ」
「え?」
「戦っていた勇者……親友がね。私を戦わせたくないって言って。結局私たちは、誰もその友達を止められなくて。結局、私たちも何も知らない人たちも、バーテックスに襲われて、結局世界は滅んじゃった。ごめんね。千翼くん。私はもう、世界が壊れていくのを見過ごすことなんてできない。世界を失うのは、私だけでいいんだよ」
「………じゃあ……」
千翼は悲しそうに友奈の胸に顔を埋める。
「俺は……俺は……っ! ……生きていちゃいけないの……!?」
友奈の両腕を掴みながら、千翼は訴える。顔を背ける友奈は、そんな彼に何も言えなかった。
やがて、千翼の手からぐったりと手が抜ける。
「そっか……そうか……分かったよ……」
何かを諦めたかのように、千翼は友奈に背を向ける。そのまま廊下を静かに歩いた。
「でも……させない……俺はまだ何も始めていない……!」
ほとんど無音で、千翼はこちらを振り向く。いつ手にしたのだろうか、彼の手には、赤いベルトの機械___ネオアマゾンドライバーが握られていた。
その機械を腰に装着し、千翼は注射機型のデバイスを装填する。
「俺は最後まで生きるよ」
「……うん。そうだよね。それが、当たり前だよ」
牛鬼がじっと友奈を見つめている。相棒である妖精に急かされるように、勇者システムが組み込まれたスマホを取り出した。
すでに勇者システムは、千翼に対して警報を鳴らしている。聖杯に召喚される前と同じけたたましいサイレンが、ずっと病院内を響いていた。
「だから私は……千翼くんの敵として、千翼くんを倒す……しかないんだ」
友奈は静かにそれを起動させた。
病院内に芽吹く桜の花びら。人工的な病院内を彩る神秘の中、徐々に勇者へ変わっていく友奈の前で千翼は告げた。
「……アマゾン!」
彼の全身より発せられた炎が、花びらを焼き尽くしていく。
赤い炎に身を包んだアマゾンネオと時を同じく、友奈もまた走り出した。互いの拳が交差し、火花が散る。
『ブレード ローディング』
その音声が聞こえたと同時に、友奈はしゃがんだ。友奈の首があったところを、アマゾンネオの刃が横切る。
「はあ!」
友奈は即、刃を蹴り飛ばす。刃が友奈の背後に突き刺さったと同時に、友奈はア
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