第六十八話 イロコワ連邦
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マクシミリアンの部屋のドアをアニエスが叩いた。
「失礼します」
「良く来た。ささ、座ってくれ」
マクシミリアンに促され、アニエスは木製のシンプルな椅子に座った。
アニエスがマクシミリアンの部屋に呼ばれた理由は、左頬の傷跡を消す為だ。
「さて、整形手術を始めよう」
「お願いします」
マクシミリアンはスペルを唱え、とある秘薬の中身を右の手の平の上に垂らすと、左手の杖を振った。
「動くなよ……」
マクシミリアンは、右手の秘薬をアニエスの左頬に振付けた。
「うぅ」
「冷たいか?」
「はい、それにヒリヒリします」
「結構。効いている証拠だ」
アニエスの左頬は、秘薬の効力でドロドロの粘土の様に軟らかくなった。
「……」
マクシミリアンは、真剣な顔で左頬の傷跡を粘土細工の様に綺麗に整える。
「……」
キスが出来るほどの距離に、アニエスの心拍数は上がりっぱなしだ。
「アニエス」
「!? あっ、はい!」
いきなり声を掛けられアニエスは、しどろもどろになった。
「どうした?」
「いえ、なんでもありません……どうされましたか?」
「いや、な。貝のネックレスをしていたから、聞いてみたんだ」
アニエスの首には、ピンク色の貝に紐が繋がれたネックレスの様なものが掛けられていた。
「これは、以前に殿下から頂いた貝殻を、首に掛けられるようにネックレスにしました」
「大事にしてくれて嬉しいよ」
「いえ……私こそ殿下のプレゼントに穴を開けてしまいました」
「気にする事はない。実はもう一つ渡すものがあってな」
「渡すもの? なにをでしょうか?」
「先の戦いで、武器をなくしたと聞いてな。これを渡す」
そう言って、懐からハイパワー拳銃をアニエスに手渡した。
「あの、これは?」
「場違いな工芸品だ」
「いえ、それは見れば分かります。どうしてこれを?」
「僕が持っていても、相手にあらないからな。だからアニエスのやる」
「……よろしいのですか?」
アニエスは不安そうな顔でマクシミリアンを見た。
ピンクの貝殻の他に、この様な物を貰って不安になったからだ。
「構わない。さあ、治療を続けよう」
「……ありがとうございます。大切にします」
アニエスはハイパワー拳銃を手にマクシミリアンに深々と頭を下げた。
治療を再開したマクシミリアンは、ペタペタとアニエスの左頬を整えた。
マクシミリアンが、ふと視線を下に向けると、戦闘服の陰からアニエスの胸元が見えた。
(そういえば、新世界に来て以来、『そっち方面』はご無沙汰だな)
無性
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