第六十八話 イロコワ連邦
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、私達の前に現れないで」
『……』
マクシミリアンのウォーター・キャノンで大樹に叩きつけられたウェンディゴは、ゆっくりと起き上がるとアワサに頭を下げた。
『……』
そして、何も言わずに、霧になってアワサ達の前から姿を消した。
「大丈夫なのか? 復讐に燃えてまたやってくるんじゃないのか?」
『問題無かろう。奴から既に敵意を感じなかった』
ダボダドがやって来て、既にウェンディゴに敵意が無い事を説明した。
「……と、いう事は、私達の戦いも終わりなのね」
「そうだよ、やったんだ俺達!」
「ようやく、ようやく解放された……」
アワサら原住民達は抱き合って喜びを噛み締めていた。
「おめでとうアワサ」
「ありがとうアニエス」
二人は両手を取り合った。
「何だか、僕だけ蚊帳の外なんだが……まあ、いいか」
空気を呼んだマクシミリアンは、二人を見守りながらデヴィットの所まで歩き始めた。
その後、ウェンディゴの姿を見たものは居ない。
決して満たされる事のない飢えに、苦しみながらこの広大な新世界を彷徨い続けているのか、それを確かめる術は無かった。
☆ ☆ ☆
僅か数週間で、ヌーベルトリステインと亜人達との戦争は終わりを告げた。
先住民のリーダー、デガナヴィダは自分達の事をイロコワ族と呼称し、亜人や精霊達との共存共栄の道を勧めた。
禁断の滝のデガナヴィダの家に、精霊や獣や亜人の代表を集め、デガナヴィダを含めた六人の代表によるの合議制で国政を進めることになった。
彼らイロコワ族は、自分達の国をイロコワ連邦と呼ぶようになり、ヌーベルトリステインと交易を行うようになった。
先の戦争で、ヌーベルトリステインは多くの血を流したが、そのお陰で精霊達の信頼を得ることが出来た。
ヌーベルトリステイン13州の土地を認めさせる事も出来たし、精霊達は農作業の手伝いを無償で手を貸してくれるようになり大規模農業が行われるようになった。
なにせ、精霊は休むことは無い。普通の場合だと、かの悪名高いプランテーション農業でしか実現できなかった大量栽培大量生産が、精霊の力で可能になった。
人口の少ないヌーベルトリステインでは、決して無視できない被害だったが得る物は多かった。
ヌーベルトリステインからは、衣類や食料等の各種製品、イロコワ連邦からは、木材用の樹木や琥珀、毛皮等が売買された。
特に樹木はヌーベルトリステイン国内で木材に加工され、ハルケギニアに輸出された。
戦争終結から一ヵ月後のアルゴルキン砦。
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