第六十八話 イロコワ連邦
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「……」
「……」
「呆気無いものだ」
「ああ」
「おい待て!」
「どうしたの、ダボダド?」
「奴め、この煙に乗じて……糞っ、逃げたぞ!」
「ええ!?」
煙が晴れると、ウェンディゴが居た場所には誰も居なかった。
「奴は出口まで逃げた」
「しぶとい奴だ。追え!」
一行は、急いで洞窟の入り口まで戻った。
☆ ☆ ☆
『クヒィ!?』
「ああ? 何だコイツ」
幸か不幸か、連絡を受け駆けつけたマクシミリアンとウェンディゴが、洞窟の入り口前で鉢合わせをした。
「ガリガリに痩せてるな、ちゃんと食ってるのか?」
『クヒッ』
「気味の悪い奴」
マクシミリアンが、ウェンディゴをいぶかしんでいると、洞窟の中からアニエス達が走ってやって来た。
「お〜い」
「殿下! その者がウェンディゴです!」
「何ぃ!? って、アニエス、その顔はどうした?」
「わ、私のことよりも、ウェンディゴが逃げます!」
「後で話を聞かせてもらうぞ」
マクシミリアンが振り返ると、ウェンディゴは森の中に逃げようとしていた。
「逃がさないぞ!」
入り口付近で待機していた原住民が、ウェンディゴの行く手を阻んだ。
『フヒヒヒヒヒ!』
ウェンディゴが痩せ細った両手をかざすと、周囲の温度が急激に低下し土や草木が凍りついた。
原住民達の足を凍らせ、身動きを取れなくすると、ウェンディゴは再び逃走を始めた。
「オレの目の前から逃げられると思うな!」
マクシミリアンは、右手で杖を振りスペルを唱えると、左手をピストルの形に取った。
『ウォーター・ショット!』
ズドン!
という音と共に、暴力的な水流がウェンディゴを巻き込んだ。
吹き飛ばされたウェンディゴの手足は、曲がってはいけない方向に曲がり、もんどり打って大樹に叩きつけられた。
「殺していいのか!?」
マクシミリアンは確認を取った。
「それは……」
「……」
アニエス達の目はアワサに集中した。
「……殺さないで」
「了解だ」
「待てよアワサ。それじゃ俺達の気が治まらない」
「みんなごめん……私のわがままを聞いて」
「……分かった。今は怒りを引っ込めておく。だが、またウェンディゴが逃げ出すような事があれば、もう俺達は止まらないぜ」
「分かったわ」
原住民達とのやり取りを終え、アワサは再びウェンディゴの前に立った。
「ラストチャンスよ。亜人達の支配を解いたら、今後一切
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