第六十八話 イロコワ連邦
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時は腰を抜かしたぜ。しかもオールヌードのオマケ付きだクソッタレ!」
「わ、忘れようとしてたのに……あうあう」
ダボダドが変化で人間に変わった時の、全裸の姿は思春期のアニエスには刺激が強すぎた。
「むむっ、臭いが強くなってきた。近いぞ」
「よし、戦闘準備だ。お前らもそろそろ黙れ」
「了解」
「了解っす」
デヴィットに怒られた二人は黙って洞窟の奥へ進んだ。
奥に進むと、切り裂くような寒さは一段と酷くなり、所々に氷の結晶が壁から生えていた。
「綺麗だけど、こうも寒くちゃ感動も半減だわ」
「奥に誰か居る!」
一行は、洞窟の奥に人影を見た。
「コマンド隊。配置に付け」
デヴィットの号令で、アニエスとヒューゴは戦闘態勢を取った。
「……」
「……」
全員が、そろりそろりと近づくと、洞窟の奥にはガリガリに痩せた醜い人間らしき者が居た。
「コイツがウェンディゴ?」
「そうだ」
アワサの問いにダボダドが答えた。
ガチャガチャ、と原住民達は一斉に雷の杖(銃)をウェンディゴに向けた。
「コイツがウェンディゴか、俺に撃たせてくれ。俺は親兄弟を、こいつのせいで殺された。」
「いや、俺に撃たせてくれ」
「いや、俺だ」
「……アンタ達、止めなさい」
アワサの地の底から這い出たような低い声に、その場はシンと静まり返った。
「何故だアワサ!? お前だって親兄弟を殺されただろう?」
「そうだ。俺達はこの時を待っていたんだ!」
「……私、色々考えたのよ。デガナヴィダの言葉の意味を、ね」
「しかし、アワサ」
そう言って、アワサは原住民達の声を無視して、ウェンディゴに近づいた。
「不用意に近づくと。危ないよ」
「大丈夫よ。ありがとうアニエス」
「なんなら、アワサ。私も……」
「止めとけアニエス。彼女に任せよう」
アニエスが、アワサに着いて行こうとしたがデヴィットに制された。
「さて……初めまして、ウェンディゴ」
『……』
アワサがウェンディゴの前に立ち軽く挨拶したが、ウェンディゴは何も応えない。
「応えたくないならそれでも良いわ。私達、アンタを殺しにきたの……」
『……』
「けど、『みんなきょうだい』……気が変わったわ。だから、命だけは助けてあげる。私達の前から消えて頂戴」
『……クヒッ、クヒヒヒヒ! ニンゲンノニクゥ!』
ウェンディゴが突如笑い出し、アワサに襲い掛かった。
「アワサ下がれ!」
ボパパパパン!
洞窟内で、一斉に銃声が鳴り響き、銃の煙が洞窟内を覆い隠した。
「撃ち方止め!」
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