第100話『予選E』
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められていた。
「どこかに抜け道……ないか! なら迎撃!」
辺りを見回して逃げ道を探しながら、伸太郎は岩に向かって1発光弾を放った。初めて使えるようになった頃から練習を重ねているため、今やエアガンくらいの威力には──
「って、そんなレベルでどうこうできる訳ねぇだろうが!!」
光弾は呆気なく岩に弾かれ、あえなく迎撃は失敗する。他の手段と言っても、"炎"は恐らく光弾よりも効果が薄いだろうし、"爆破"は天井諸共崩しかねない。つまり、今の伸太郎には手詰まりの状況なのだった。
「マズいマズいマズいマズい……!!」
この岩に潰されれば、きっと紙のようにぺしゃんこにされるだろう。ふざけるな。こんな誰も立ち入らないような迷宮の地面に、地上絵として遺るなんてたまったもんじゃない。
──もう以前とは違う。そう易々と死んでなるものか。狡猾に意地汚く生き抜いてやるのだ。
「何か?! 何か使えないか?!」
そう思って周囲を見渡すも、前は暗闇が、横は壁が永遠と続くのみ。抜け道も障害物も存在しない。
岩と壁の隙間に入り込むという手段は聞いたことあるが、見た感じそんな隙間はないし、あったとしても実行する勇気と身体能力がなかった。
「俺自身でどうにかするしかないのか……」
呟き、握りこぶしに力が入る。さっきは選択肢から消したが、この大岩を排除するにはやはり"爆破"を使う他ない。
しかし、いつもと同じ使い方ではダメだ。終夜の"冥雷砲"の様な、小規模な爆破でなくてはいけない。
「だったら凝縮率を変えて……!」
走りながら指先に意識を集中させ、光と熱を凝縮する。しかし、息が切れて思うように調整できない。自分の命運が懸かっているのだという焦りと震えも、余計に手元を狂わせる。
「あーもう焦れってぇ!!」
わざわざ指に集めるから、調整が細かくなるのだ。もっと大きい箇所に集めれば制御が楽になるはず。
伸太郎は熱量を指から手の平に移動させ、そして岩に向かって勢いよく振り返った。
「ぶっつけ本番で頼むぞ! "烈火爆砕"!」
伸太郎の右手に煌めく光が、その輝きを増しながら大岩に直撃する。
その瞬間光は爆ぜ、熱が放出すると同時に岩に亀裂を刻み、砕いていった。轟音と衝撃が空気を震わせ、迷宮を揺るがす。
しかし、崩れることはなかった。
「……あっぶな! できた! 俺にもできたぞ!」
辺りに散らばる岩の破片を見下ろしながら、伸太郎はガッツポーズをとる。まさか自分が、こんなに大きい岩を砕くことができるなんて、夢にも思わなかった。
未だに心臓がバクバク鳴っている。まさに危機一髪。ここまでヒ
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