第100話『予選E』
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──こいつは、10Pt級なのだと。
*
暗闇の中を、松明の灯りのみを頼りに進む。怖いという気持ちは少なからずあるが、その一方でワクワクしている自分もいる。
"迷宮"に挑む伸太郎は、順調に歩みを進めていた。
なんとルービックキューブの一件以来、さらに2回も近道を通っているのだ。何せ鍵が15パズルやナンプレという、伸太郎にとっては造作もないパズル問題だったのだから。
「やべぇ、マジで順調すぎる。まさかこんなところで俺TUEEEE展開になるとは思わなかったぜ」
生まれてこの方、勉強以外でここまで自分が強者だと感じたのは初めてのことだった。自然と口角が上がり、歩く速度も早くなる。
「いける、いけるぞ!」
これだけ近道を通って未だにゴールに着かないのだから、さすがにまだ誰もゴールしてないだろう。つまり、伸太郎の予選1位通過も夢ではない。そう思うと、珍しくテンションが上がってきた。
「早く次の近道見つかんねぇかな〜……って、お? 何だこの坂道……?」
そんな時、ある曲がり角を曲がったところで、伸太郎は今までと違った景色に遭遇する。それは、先が見えないくらい地下深くまで続く下り坂だった。
「怪しいな……」
これまで見てきた地形は、「まっすぐな通路」と「階段」のみ。それなのにここにきて、新しいパターンである「坂道」が出てきたのだから、不思議に思うのも当然だろう。
加えて、階段とは違って先が全く見えない。ゴールがあると思われる地上に向かっていないのが残念だが、ここで行かないと後悔するような気もする。
「……行ってみるか」
何かあるならそれでいいし、何もなさそうであれば引き返せばいい。これは必要な寄り道だ。
そう思って、伸太郎が坂道を下ろうとした──その瞬間であった。
ガコンと、背後から音が響く。
「ん、何だ──」
振り向いてすぐに、伸太郎が事態を察し、絶句した。
同時に、近道に気を取られるあまり忘れていた、ジョーカーの言葉を思い出す。
『迷宮には罠が多く仕掛けられています』
「ちくしょぉぉぉ!!!」
伸太郎は吠えながら、すぐさま坂道を駆け下り始めた。その背後を、ゴロゴロと大岩が追いかけてきている。
──そう、さっきの音は、この丸い大岩が出現した音だったのである。
何と短絡的な罠であろうか。しかし、坂道でのその罠の効力は絶大とも言えよう。
「くそっ、逃げ切れる気がしねぇ!!」
球体の岩は、当然斜面で加速しながら伸太郎へと迫る。一方伸太郎は、いくら坂道とはいえ、それから逃れられるほど速力がある訳もなく、ジリジリとその差を狭
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