第100話『予選E』
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「さて、今の順位は……33位か。ま、悪くないんじゃないの?」
腕輪を見て、緋翼は僅かに笑みを零す。
実はあれから猪型のモンスターと何度も遭遇しては倒してきたので、かなりのポイントを稼いでいたのだ。肝が冷え冷えな展開だったが、おかげでこの好順位も当然と言えよう。
残り時間も半分を切っているので、この調子でいけば本戦に残るのも夢ではない。
「でも、これ以上は難しそうなのよね」
というのも、猪型のモンスター以降、高ポイントのモンスターに遭遇できていないのだ。
よって、今はちまちまと雑魚を狩っている訳だが、ポイントの伸びはあまり芳しくない。これではふとした時に、順位はガクッと落ちてしまうだろう。この競技は実力はもちろんだが、運もかなり重要なのだと思い知った。
「かといって、本戦に残るにはもう少し順位がないと厳しいし、どうしよう……」
運というものは実に気まぐれなものなので、こればっかりはどうしようもできない。
しかし、せめて5Pt級以上のモンスターが連続で出てくるとかあったら嬉しいのだが──
ガサッ
「!!」
突然、背後の茂みが不自然に揺れた。何かの気配も感じ、即座に緋翼は距離をとって刀を構える。まさか、また猪なんじゃ……
「──よっと」
「なんだ、選手か……」
しかし、緋翼の警戒は杞憂に終わった。
草むらから出てきたのは、黒髪の30代くらいの男性だったのだ。腕輪をはめており、間違いなく選手だと断定できる。
「お? なんだ嬢ちゃん、そんな物騒なもん構えて」
「あ、すいません。モンスターだと思って……」
その男性に声をかけられた緋翼は、慌てて刀を下げた。
それに対して男性は「別にいいって」と一言返すと、辺りを見回し始める。そして一通り見回したかと思うと、緋翼の方を向いた。
「なぁ嬢ちゃん」
「は、はい……?」
「……もしかして迷子?」
「喧嘩売ってます?」
緋翼が睨みを利かせると、男は「冗談冗談」と言って快活に笑った。競技中だというのに緊張感のない人だ。
「いやぁ驚かせて悪かった。どうにもこの辺から、強そうな奴の気配がしてな」
「……それって何ポイントくらいですか?」
「……8とか9、もしくは──10だな」
緋翼の問いに、男は不敵に笑いながら答える。さっきまでの剽軽な態度と打って変わり、今の彼は狩人の目をしていた。
──すぐにわかった。この人は実力者だ。
ならば、その目と勘は確かなものではなかろうか。この近くに強敵がいるのだと思うと、自然と刀を持つ手に力が入る。
「おっと嬢ちゃん、悪いが横取りはさせねぇぜ」
「私だって、簡
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