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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
最高に最低な──救われなかった少女 V
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「あの……えっと、如月彩斗に面会するのって大丈夫ですか?」
武偵病院の受付カウンターは、峰理子の身長にしては少し高めだった。爪先立ちで喋ると、喉が何故だか締まってしまう。……いや、もしかしたら、柄にもなく緊張しているのかもしれない。
そんなことを気にしいしい、片手に握ったミニブーケを落とさないことに意識を傾注させながら、受付員の返答を待っていた。
「お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「理子。峰理子です」
「はい、峰理子さまでございますね……」
受付員は理子の名前を復唱すると、何やら手元の名簿を確認しながら何処かに電話を繋げている。彩斗の管轄医だろうか。
理子が俄に聞いたところでは、今朝の騒動後──アリアらが彩斗を武偵病院に搬送した後も、そうして処置を施した後も、彼は依然として意識を取り戻していないらしかった。
そこまでの動向までしか、理子は知らない。
──うぅん、大丈夫かな……。断られたりしないかな……。
こうして待っている間も、気が気でない。この感情を紛らわせるかのように、制服の裾やフリルに指を触れさせていた。
片手に握っているミニブーケの包装紙は、恐らく持ち手の部分だけがしわくちゃになっていることだろう。
今の脈搏は100以上を打っているはずだ。
そんな取り留めもないことばかりを幾度も幾度も思い付いてしまうくらいには、今の理子は平静ではなかった。
実を言えば、こうして面会を申し入れることさえ躊躇していた。
勢いに任せてフラワーショップで彩斗を見舞うための花を買ったはいいものの、いざ赴いた彼女の頭の中は、彼との面会の可否を予想するだけで満杯だったと言ってもおかしくない。
何度も決意を固めたつもりが実は未だに固まりきっていなくて、凝固しかけた液体のような曖昧な意志が、ある種のタイミングによる気まずさとなって理子の決意を幾度も瓦解させていた。
そんなわけだから、ロビーの椅子でかれこれ30分はミニブーケを片手に悶々と考え込んでいたのである。
──まぁ、面会が出来るか出来ないかなんてどっちでもいっか。あっくんともう会えなくなるわけじゃないんだし……。
そこまで考えを至らせてしまうと、たかが30分とはいえ、予想ごときに時間を費やした自分の軽躁さを呪いたくなってきた。
人の気を引かない程度に、理子は溜息を吐く。この姿を彩斗に見られたら、彩斗は『らしくないね』と苦笑するだろうか。『君は君らしく振る舞ってなきゃ、つまらないでしょう』とも。
我ながら、如何にも彼が言いそうな言葉だなぁと思う。自分で創作した妄言なのに、何故だか救われてしまった気がした。
「──お待たせしました。面会は大丈夫とのことです」
「あ、はいっ。ありがとうご
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