3.月夜の晩に射す光
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な人。それが一目見た彼女への印象だった。
風に揺れる長髪は月の光を浴びて幻想的な色を映し出し、華奢な体は彫刻のような白さを輝かせていた。
誰もいない通りを一人、ぼんやりと空を見上げるその表情は、私の抱える不安とは別の色を隠すようにも写る。私はこの時、ただでさえ少ない女性プレイヤーに出会ったためか。彼女なら大丈夫という確信にも似た勇気を奮い。
気づくと私は、その人に声をかけてしまっていた。
・・・・・・NOWLOADING・・・・・・
ひどく眠い。
それがフィールドから帰ってきて、最初に頭をよぎる思いだった。
数時間ほど前から連続して戦闘を続け、ようやくレベルも2へと上がることが出来た辺りから、少しずつ睡魔が襲ってきた。
最初は大丈夫とも考えたが、何度も冷や汗をかくような場面になれば流石に危ないと気づく。さらに武器や防具に耐久度があるらしく、知らない間にかなり消耗していたのも帰還を決定した理由だ。
そういったわけで、レベルアップボーナスのステータスの割り振りは後ですることとして、今は一刻も早く布団に潜り込みたいとの一心で宿へと向かっていた。
静かだ。余りにも静か過ぎる。
もう夜にはなっているとはいえ現実ではまだ8時。それなのに、町にいるのはNPCばかりでプレイヤーの姿が一人も見当たらない。
宿屋に篭ったのか? それとも全員で次の町へ?
しかし、先ほどまでフィールドにいたが、同じ場所にいたのは精々数人程度。もっと先に行った奴らもいたが、あちらは帰ってきた気配はない。多分MMOの経験者なんだろう。
まぁ初心者の俺には関係ないだろう。そんなことより今はふかふかのベットが重要だ。夕食の方は……必要なのだろうか。その辺りは今度調べておこう。
「あ、あのっ……!!」
NPCだけとばかり思っていた所にかけられた突然の声に、俺はとっさに身構え、声のかけられた方向に目を走らせた。
声の先にいたのは女性用初期装備に身を包んだ1人の少女。整った顔立ちではあるが、かなり若い印象を受ける。多分中学生くらいだろう。
不安に揺れる瞳は俺が振り向いたことで一瞬たじろいた様にも見えたが、胸に運んだ両手に力を入れると、
「も、もしかしてβテスターの方ですか?」
正式実装前のバグやシステム調整の為に選ばれた一般のプレイヤー。彼らはこのゲームが死に直結する前に実際に体験し、そのノウハウを知っている1000人からなるプレイヤーがβテスターである。
多分だが、この少女は俺がβテスターでこの周辺について詳しいと考えて声をかけてくれたのだろう。
「ごめんね。俺はβテスターどころかMMO初心者だから、多分
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