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戦国異伝供書
第百二十話 三州奪還その十一

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「そのうえでじゃ」
「どうするか決めますな」
「そうするとしよう」
 義久は義弘に話した。
「あの国についてもな」
「そうしますな」
「肥後についてはです」
 歳久はこの国について話した。
「筑後が間にありますが」
「肥前の龍造寺家がか」
「狙っておるとか」
「肥前を掌握したならな」
「はい、筑後となり」
「肥前からそのまま海を渡って攻めることも出来る」
「それも出来ますので」
 それ故にというのだ。
「あの家がです」
「迫る恐れがあるな」
「龍造寺殿はかなりの野心家とか」
「九州の覇者を目指しておられるか」
「大友家と並んで」
 今の九州の覇者と言えるこの家と、というのだ。
「そうお考えとか」
「ではな」
「あの家もです」
「当家と戦うこともあるか」
「そうかと」
「九州は三つ巴ですか」
 家久は真剣な顔で述べた。
「これからは」
「そうなるかもな」
「やはりそうなることも有り得ますか」
「そうであればな」
「当家としてはですな」
「生き残るつもりじゃ」
 これは絶対だというのだ。94
「何としてもな」
「そうなりますな」
「三国を取り戻したが」
 それでもというのだ。
「他の家が攻めて来るのなら」
「戦いますな」
「それしかない、座して倒されるなぞな」
 義久は確かな声で述べた。
「薩摩隼人にはないな」
「何があろうとも」
「だからじゃ」
 それ故にというのだ。
「大友家にしても龍造寺家にしてもな」
「当家を攻めて来るのなら」
「戦ってな」
「退けますな」
「そうするのじゃ」
 こう家久そして義弘と歳久に話した。
「わかったな」
「わかり申した」
「では大友家と肥後のことを調べ」
「龍造寺家も見ますな」
「まずはそうする」
 これが義久の考えだった、そして。
 その言葉通りに大友家に肥後そして龍造寺家をじっくりと調べさせた、それが一段落ついてから家臣達に話した。
「大友家は強くな」
「優れた家臣の方も多いですな」
「立花殿に高橋殿もおられ」
「侮れませぬな」
「しかし龍造寺家といがみ合い」
 それでというのだ。
「そちらにじゃ」
「力を注がれていて」
「その立花殿と高橋殿は常にそちらに向かわれています」
「高橋殿のご子息にしても」
「立花家に養子に入られたその方も」
「この三人の方々はまさに戦の鬼であるが」
 それでもというのだ。
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