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戦国異伝供書
第百二十話 三州奪還その七

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「幾ら強くともな」
「小さい勢力ですな」
「天下から見れば」
「日向を取り戻しても」
「それでも尚」
「そうじゃ、それで慢心したりするなぞな」
 そして油断することもというのだ。
「愚かなことであろう」
「ですな、天下は広いです」
「もっと言えば天下は本朝だけではない」
「異朝もありますし」
「天竺もあります」
「そして南蛮も」
「そんな広い中での我等なぞ」 
 まさにというのだ。
「今言った通りじゃ」
「井の中の蛙ですな」
「それで慢心してはです」
「実に愚かですな」
「左様ですな」
「そして滑稽じゃ、愚かで滑稽になるなぞ」
 それこそとだ、義久はさらに言った。
「どうか」
「そう思いますと」
「慢心は禁物ですな」
「そしてそこからの油断も」
「してはなりませぬな」
「そういうことじゃ、そのうえで戦うぞ」
 こう言ってだった。
 義久は兵を高原城に進めていった、その間伊東家は何度か兵を向けてきたがその都度島津家の軍勢は彼等を退けた。
 そうして高原城に達すると。
 義久はその城を見てこう言った。
「確かに堅城であるな」
「はい、まさに」 
 歳久が応えた。
「この城はです」
「そうおいそれとはな」
「攻め落とせる城ではありませぬ」
「そうであるな」
「鉄砲がなければ」
「そうであるな」
「そして我等はです」
 まさにというのだ。
「その鉄砲があります」
「しかも多くな」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「我等はです」
「鉄砲を使ってな」
「攻めましょうぞ、弓矢を放っても然程効かぬ高さの壁も」
 堀の上にあるそれもというのだ。
「鉄砲ならです」
「届いてな」
「しかもこの城の城壁ならば」 
 まさにというのだ。
「鉄砲の弾を多くぶつければ」
「崩れるな」
「それは門も同じです」 
 橋の向こうにあるそれもというのだ。
「鉄はなく木も薄いので」
「鉄砲ならばな」
「壊せます」
 その弾を多くぶつければだ。
「そして敵兵達もです」
「鉄砲で攻められるな」
「ですから」
「はい、ここはです」
「城を囲んでな」
「鉄砲を放ち続けましょう」
 こう義久に話した。
「そして壁も門も壊し」
「そのうえで」
「攻めましょうぞ」
「ではな、これより城に向けて鉄砲を撃つのじゃ」
 義久は些細肺を告げた、するとだった。
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