マザーズロザリオ
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、結局木綿季ちゃんを___
『でも、ここは天秤にかけるしかないでしょ? それとも可奈美は、怪物になった友達に人喰いをさせるの?』
___それは……嫌だけど……___
『だから……ね?』
口に入ってきた石をかみ砕く。
可奈美は大きく目を見開き、解体しようとしてきた黒曜石のレイピアを弾く。そのまま両足をプロペラのように回転させ、木綿季を蹴り飛ばすと同時に跳び起きる。
「だああああああああ!」
レイピアを立て直すより先に、千鳥で木綿季の体を引き裂く。大きく後退した彼女を足場に可奈美はジャンプ。二度目の剣で、さらに大きく後退させる。
「あはは……あはは……!」
木綿季の笑い声。可奈美は千鳥を握りなおし、叫んだ。
「さあさあ! もっとやろうよ! 立ち合い!」
再び迫る木綿季。それに対し、可奈美は突く。
最初は左肩。そこから右腰に掛けて、合計五回、千鳥で突く。
そして右肩。そこから左腰へ、これも合計五回、千鳥で貫く。
「うあああああああ!」
悲鳴を上げながら、可奈美は腰を落とす。全力を込めて、十突きの中心へ一撃を入れた。
「があああああああああああああ!」
可奈美の最後の一撃は、木綿季の胸を貫く。ビクンと体を動かした木綿季は、そのまま地面を数回跳ね、病院の壁に激突。
「木綿季ちゃん……」
膝を折った可奈美は、脱力した腕から千鳥をこぼす。だが、可奈美はもうそれを拾う余力もなかった。
動くこともできず、ただ茫然とインプアマゾンを見つめていた。
アマゾンの顔。だが、その口元は大きく開き、吊り上がった口角から、まるで笑っている。
だが、雨の元、小さな悪魔妖精が動くことは、もうない。
「どうして……どうして……!」
可奈美の悲鳴は、大雨の中掻き消されていった。
「うわああああああああああああああ________!」
ただそれを。
千鳥は、じっと見守っていた。
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