第七幕その八
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「アイスクリームみたいでね」
「アイスクリームですか」
「あれそっくりだね、バニラのね」
こちらのアイスでというのです。
「凄くね」
「美味しいんですね」
「そうなんだ」
「そうですか、何か漫画を読んでいますと」
「美味しそうだね」
「はい」
恵梨香は妖怪博士に答えました。
「見ていますと」
「ははは、人魂は美味いぞ」
子泣き爺はお酒を飲みつつ言ってきました。
「実にな」
「そうなのね」
「ただ、本当にな」
恵梨香にこうお話します。
「食べるとお顔がな」
「魂になってお口から出るから」
「それがあるからな」
「食べるとなのね」
「あまりよくはないのじゃ」
「そうなのね」
「しかしまた美味くてのう」
砂かけ婆も言ってきました。
「時々食べたくなるのじゃ」
「そうなのね」
「実際にアイスクリームみたいでな」
バニラのそれでというのです。
「よいぞ」
「アイスクリームね」
「バニラのな」
それだというのです。
「バニラのアイスが好きならな」
「余計にいいのね」
「そうじゃよ」
「まあ人魂も死なないしばい」
一反木綿はひらひらと飛びながら言いました。
「お顔も戻るからばい」
「いいのね」
「まあちょっとなくなるだけばい」
お顔がというのです。
「それだけばい」
「お顔がないと見えないけどな」
小豆洗いは笑って言いました。
「口だけになるから」
「つまりのっぺらぼうだよ、まあのっぺらぼうは見えてるけれどね」
ろくろ首は飲みながら言います。
「ちゃんとね」
「目がなくても」
「そうなの、あれでね」
実はというのです。
「見えてるのよ」
「そういえば」
「ちゃんと動いているわね」
「それで相手を見てお話しているわ」
「のっぺらぼうはそうなのよ」
目がないけれどというのです。
「見えてるのよ」
「そうなのね」
「けれど人魂を食べるとね」
その時はというのです。
「見えなくなるからね」
「注意しないと駄目なのね」
「くれぐれもね」
「まあ目がないとね」
木挽きの馬も言います。
「困るしね」
「だろ?人魂はそこを注意しないと駄目なんだよ」
すねこすりが木挽きの馬に応えました。
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