第三章 リベン珠
第9話 メタボになるよ:後編
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鈴瑚に銃撃を仕掛けるも、軽くかわされてしまう勇美。更には彼女に距離をどんどん狭められて嫌な予感を感じるのだった。
「零距離、もらいましたよ♪ 【兎符「バニーアッパーカット」】!」
勢いに乗ったまま鈴瑚はスペル宣言すると、屈んだ姿勢の状態で地面を両足で強く踏みしめる。
そして次の瞬間、彼女はその体のバネの反動で上にいる勇美目掛けて飛び出したのである。加えて彼女はその体勢で拳を握って腕を突き出していたのだった。
「!!」
その瞬間勇美は驚きながらも言葉を発さなかったのは咄嗟の懸命な判断だろう。それがなければ彼女は舌を噛んでいたかも知れないのだから。
そして、勇美の予想通りに鈴瑚の拳は彼女の顎を捉えたのであった。
刹那、鈍い音が早朝の湖の周辺に響く。そして、勇美は受けた衝撃により弾き飛ばされてしまったのである。
勇美はそのまま地面に倒れ伏してしまう。それから彼女は鈴瑚から顎に強かな一撃を貰った事を認識するのだった。
「うう……」
痛みと軽い脳震盪の苦痛に顔を歪めながら、勇美はうずくまった状態で唸る。
「勇美さん!」
相方が倒された鈴仙は当然驚愕してその名前を呼びながら意識をそちらに向ける。
続いて彼女は弾かれるように銃口を鈴瑚へと向けたのだった。それは、今までは単独でいる事を好んでいた彼女らしからぬ、仲間を想うが故の咄嗟の反応であった。
その事に鈴瑚は感心していた。そして、清蘭から伝わった情報に間違いがなかった事を内心喜ぶのだった。
だが、勝負は非情というものである。殊更今自分達玉兎は地上の浄土化という重要な任務に就いているのだ。その事に抜かりはあってはいけないだろう。
故に彼女の次の行動は決まっていた。それを行おうとするのと、鈴仙が引き金を引くのは同時であった。
「いい狙いで、隙も少ない。そしてあなたは幻覚による戦法を得意とする。やはり鈴仙に近接戦は分が悪いですね……」
鈴瑚はしみじみと呟きつつも、次の行動は決まっているのである。
「そんなあなたにはこれですね、【兎符「バニーショット」】!」
宣言の後に鈴瑚は拳に自分の気を集め塊を精製すると、その手を鈴仙が放った弾丸の群れに対して突き出した。
すると彼女の手から溜めた気がオレンジ色の砲弾となって発射される。問題はその砲弾のサイズだ。
軽く一般家庭で作る雪だるまの胴体部分程の大きさはあるだろう。そのような規模の物が弾丸サイズのエネルギーにぶつかれば……後は察しの通りであった。
鈴瑚が撃ち放ったオレンジ色の弾は直進しながら鈴仙の弾丸を蹴散らしていったのだ。まるで金属の部品を機械のローラーが引き潰していくかのような圧巻であった。
「しまっ……!」
鈴仙がそう言い掛けた時には既に遅かったのだった。鈴瑚の特大弾は邪魔物の排除を完遂した状
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