第三章 リベン珠
第9話 メタボになるよ:後編
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していった。
例えるなら、ジェット噴射といえば分かりやすいだろうか。鈴瑚は足から吹き出す炎を推進力として上空へ飛び上がっていったのだ。
その狙いは勿論……。
「空飛ぶワニなんて奇っ怪かつ意味不明な事してくれましたけど……こちらも飛べば問題ないでしょう」
後はそのままこの鰐に炎を纏った蹴りの一撃を喰らわせればいいだけである。そう、このスペルは推進力と攻撃補助を兼ね備えた優秀な性能なのである。
だが、ここで勇美は不敵に微笑みながら言った。
「かかりましたね……」
「何を言って……!?」
意表を突かれた鈴瑚は勇美にそう言うが、勇美は淡々とこう言ってのけたのだ。
「鈴仙さん、あなたの力を借りますよ」
「鈴仙……っ!?」
そう呟き鈴瑚がちらりとその名前の者に目を見やると、ハッとなってしまった。
鈴仙は遥か地上で目を閉じていたのだった。その事に意味が無いとは感じない鈴瑚ではなかった。
だが、時は既に遅かったようだ。
「これぞ合体奥義! 【鰐眼「ルナティックアイズ・メタル・クロコ」】!!」
勇美が宣言すると、その機械鰐のアイセンサーが真っ赤に輝いたのである。それが意味する所は。
「鈴仙の『狂気の瞳』を投影したですって……!?」
「ご名答です」
鈴瑚は正解を言い当てたようである。
元々マックスは動力を取り込んで動ける性質があるのだ。それを普段は依姫との契約により貸してもらっている神降ろしの力でまかなっているに過ぎないのだ。
つまり、エネルギー源となる物なら何でもいいのである。それは今のように狂気の瞳の力でも例外はないのだった。
そして、鉄鰐の眼の輝きが最高潮となると、そこから狂気の瞳のエネルギーを凝縮したレーザーが発射された。
対して鈴瑚は上空に飛び上がって来たが故に受け身がとれない状態であった。それが意味する所は。
「ぐわああぁぁーっ!!」
見事に彼女はレーザーの餌食となり、そのまま地面へと落ちていったのだった。
◇ ◇ ◇
「うう……ワニに『ぐわああ』って言わされた……」
その事に鈴瑚は自棄になっていた。ある意味それだけは決してあってはいけない事なのだから。
「鈴瑚さん、あの、いいですか?」
「ええ、私の負けですから、今度こそ秘密の通路は使っていいですよ。ここから向こうにありますから」
そして、その言葉通りに勇美達の勝利という形で幕を閉じていたのだった。
「ごめんなさいね鈴瑚さん。やっぱり二対一って卑怯ですよね?」
「いいえ、これはあなた達の作戦と心構えの勝利ですよ。自分の新技すら囮にしたあなたの姿勢、見事でした」
「そう言ってもらえると照れますね、えへへ☆」
責められても文句の言えない戦い方をしたのに思わぬ褒めの言葉をもらってはにかむ勇美。だが、彼女はここで
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