第三章 リベン珠
第9話 メタボになるよ:後編
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再び団子を一粒食べると、『ストロベリーダンゴ』の効果で華麗に脚捌きをしながら盗賊から距離を取ったのである。
「続けてバニーショット!」
鈴瑚の拳から、先のオレンジ色の砲弾が放たれ、盗賊目掛けて前進していく。だが、勇美は一切それには動じなかったのだ。
「甘いですよ、鈴瑚さん♪」
勇美がそう言うのとほぼ同時であった。マシンシーフは最低限の動きで上体を捻り、いとも簡単に鈴瑚の砲弾をかわした。
「!」
鈴瑚は再び驚愕してしまう。そして、その隙を見逃す勇美ではなかったのだった。
「今度はもらいましたよ♪」
勇美のその言葉と共に再度シーフのナイフが振り抜かれ、今度は完全に鈴瑚に対して攻撃を通したのだ。
「くうっ……!」
ダメージを受け、苦悶の声を出しながらも鈴瑚はその反動を巧みに活かして再び盗賊との距離を取った。
「ふふっ♪」
「!?」
そして、あろう事か鈴瑚は軽く笑っていたのだった。これには当然勇美は訝る。
「何が可笑しいんですか?」
「いえ、漸くあなたのその力の弱点が見えたもので、思わず嬉しくて笑ってしまったんですよ」
「弱点……ですか?」
勇美はその指摘には合点がいかなかった。一体今の鈴瑚を追い詰めているマックスのどこに隙があるというのだろう。
「マッくん、後ひと押しお願いね!」
だが、考えていても仕方ないだろう。勇美はこの優位のまま勝負を決めようと、再びマックスに指令を送る。
「やれやれ……、人の忠告には耳を傾けるものですよ。つまりこういう事です。【兎符「グランドバニーショット」】ってね」
宣言の後、鈴瑚はまたも拳に気を集める。だが、その先が今までとは違っていたのだ。
彼女は今度は気を纏った拳を、抉るように下から上へと振り上げたのだった。
すると、そこから放たれたのは砲弾状のものではなく、まるで水面から覗く鮫の背びれの如く地面を這うようにして進むエネルギーであった。
これもかわしてあげようかと勇美はしようとしたが、ここで「しまった!」と事に気付いたのだ。
そして、機械の盗賊にエネルギーの背びれは見事に命中し、その一撃の元に彼は解体されてしまったのである。
「ぐっ……」
マックスの形状が破壊された事によりダメージが勇美自身にフィードバックされた。そして、納得がいかなかったのは鈴仙である。
「勇美さん、何で避けさせなかったんですか?」
その疑問に、勇美本人の代わりに鈴瑚が答えていった。
「それはですね鈴仙。あの盗賊は確かに素早かったけど、『地に足を付けている事に変わりはない』って所を付いたまでですよ。つまり、どれだけ上体で攻撃をかわせても、足元から狙えば避けられないって訳ですね」
「その通りですよ。さすがです鈴瑚さん……」
敵の理路整然とした指摘に、勇美は尊敬と苦悶の入り
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