第三章 リベン珠
第9話 メタボになるよ:後編
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態で、本体の鈴仙に肉薄したのだった。
「でも、私の狂気の瞳の力で軌道を……」
そう思い付くが、それは叶わない事なのだった。第一に既に砲弾は鈴仙の至近距離まで辿りついていた事。第二にその砲弾の規模が軽く軌道を反らせられるような代物ではなかったからだ。
「くっ……!」
つまり、甘んじて攻撃を受ける選択肢しか鈴仙には用意されていなかったという訳だ。とうとう彼女は砲撃をその身で受けてしまったのだった。そして、彼女は橙色の爆ぜに包まれてしまった。
だが、伊達にかつて依姫の元で訓練を受け、地上に降りたった今でも自己流の鍛練は欠かしていなかった鈴仙である。故に彼女は咄嗟に狂気の瞳の力を砲弾が爆発する瞬間にそれに向けて発動し、自身に降り掛かる衝撃を最小限に食い止めたのである。
「はあ……はあ……」
息を荒げる鈴仙。確かにダメージは軽減したものの、無くなった訳ではなかった。故に彼女はその苦痛に顔を歪めながら鈴瑚を見据えていたのだった。
鈴仙は確信した。──鈴瑚は以前の自分が知っている彼女よりも戦いの腕を上げている事に。
自分とて鍛錬は欠かさなかったが、鈴瑚もまた同じく自分を磨き上げていたのだろう、そう鈴仙は思うのだった。
そう彼女が思っている所に、勇美はダメージが幾分回復しその身を起こしながら言うのだった。
「鈴仙さん……、鈴瑚さんって強いですね」
「ええ、それも以前私が会った時よりも腕を上げているわね」
勇美と鈴仙はそう感心半分、畏怖半分の気持ちで語り合いながら鈴瑚と向かい合っていたのだった。
どうしたものかと暫し考え込む勇美だったが、ここで彼女は言い始めたのである。
「鈴仙さん、鈴瑚さん。ちょっと私の提案を聞いてもらってもいいですか?」
「何、勇美さん?」
「何ですか?」
敵味方共々に案を上げようとする鈴仙と鈴瑚は、その立ち位置の垣根を越えて同じ気持ちを抱く。
「あの……、パンツ脱いでいいですか?」
その瞬間、早朝のやや冷え込む空間が更に冷たい何かに包まれたのだった。
そして、二羽の兎の答えは聞くまでもなかったのである。
「「駄目に決まっているでしょう!?」」
それは見事な連携によるツッコミだった。確かにかつて鈴仙と鈴瑚は任務の下で度々組む事はあったが、今の息はその時のいずれかよりも見事な調和であった。
そして鈴瑚は思った。清蘭からの情報で鈴仙の仲間意識の事は真実であって嬉しかったのだが、逆にこの勇美の変態的趣味嗜好の件については、どうか誤認であって欲しいと願っていたのだ。
だが、現実は非情である。その鈴瑚の願いは決して叶う事はなかったのだった。
「何言っているんですかあなた。そんな事に何の意味があるっていうんですか?」
「意味はありますよ。この早朝の爽やかな空気の元で脱いだらどれだけ解放
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