第三章 リベン珠
第8話 メタボになるよ:前編
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んですか?」
そう言う鈴仙から放たれる弾丸。だが、それも鈴瑚は避ける。
「いくらやっても変わりませんよ」
言い捨てながらも鈴瑚はステップを踏んでいた。そして、いつまでも回避に回ってばかりでは埒が明かないので彼女は次なる手を打とうとする。
「避けてばっかりでは芸がないので……っ!」
『次はこちらからいかさせてもらいます』その言葉を言い終える前に彼女の言葉は妨げられてしまったのだった。
一瞬彼女は自分の身に何が起こったのか理解出来なかった。だが、漸く脳の理解が追い付いてくると彼女は今の現状を把握するのであった。
痛みの走る脚部。それによりバランスを崩している体。
それが示す答え、それは鈴瑚が攻撃を喰らってしまった事に他ならなかったのだった。
「っ……。やりますね勇美」
鈴瑚のその言葉が示すように、彼女に攻撃を与えたのは勇美のようである。
驚きの態度で勇美を見つめる鈴瑚に対して、彼女は詳しく解説をしていく。
「確かに鈴瑚さんの身のこなしは見事でした。でも、いくら巧みな体捌きでも、それには限界があるって事ですよ。それはあくまでエネルギー体ではない生の『肉体』なんですからね」
そう言ってから勇美は付け加える。依姫が舞踊の神『天宇受売命』の力を借りて身のこなしをする様を幾度となく自分は見てきたから分かるのだと。
それを聞いて鈴瑚はどこか納得をするのであった。
「そうですね……あの人をずっと見てきたのなら頷けますね……」
鈴瑚とて、依姫の実力はよく理解しているのだった。寧ろ自分には幾ら奮闘しても辿り着けない境地だと。
だから鈴瑚は総合的な能力では敵わないなら、せめて肉体能力だけでも肩を並べられるようになろうと体術を磨いてきたのだった。件の団子を食べれば食べるほど強くなる能力は、自分の肉体強化を追求するうちに身に付けた代物なのだ。
なので自分の体捌きに、鈴瑚は並々ならぬ自信があるのである。故に自分の肉体には絶対の信頼がある為、ここで鈴瑚は勇美から攻撃をもらっても心が折れる事はなかったのだ。
「見事です勇美。ですが、私の肉体機能のウリはフットワークだけとは思わない事ですよ!」
そう鈴瑚が言った瞬間、彼女の纏う雰囲気が代わったのだ。これには当然勇美も警戒する。
その為に勇美は身構えたのであるが、それよりも鈴瑚の行動の方が一枚上手だったようだ。
彼女はタンッと一際強く地面を踏みしめると、その勢いに乗って一気に勇美に対して距離を詰めて行ったのだ。
「やっぱり清蘭から聞いた通り、あなたが特に曲者みたいだから、先に叩かせてもらいますよ」
そう言いながら鈴瑚は刻一刻と勇美に差し迫って来る。だがそれにおののきながらも勇美は冷静に対応する。
「いい判断ですね。でも私とてそう易々とやらせはしませんよ!」
言う
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