第三章 リベン珠
第8話 メタボになるよ:前編
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互いに名前を知る間柄となったという訳で、勇美は取り敢えず挨拶をしておくべきだと考える。
「と、言う訳でこちらこそよろしくお願いしますね。橘さん」
「いや、その呼び方はやめなさい!」
その呼び方だと何か色々変な方向性になってしまうからだ。例えばボロボロとか辛味噌とか。
「いえ、あなたは食いしん坊さんだし、とても馴染むと思いますよ」
「う……」
返す言葉が無くなってしまう鈴瑚であった。この時ほど彼女は自分のイメージカラーと特性を呪った事はなかったようだ。
だが、彼女は仮にも清蘭の上官を務める身。すぐに平静を取り戻して話を切り替えるのだった。
「それで鈴仙、裏切ったって本当ですか?」
「ええ、まあ。私は地上の兎になった訳d……」
「違いますよ橘さん。そこは『オンドゥルルラギッタンデスカー』じゃないと♪」
「いい加減『橘さん』から離れなさいっ!」
そう言って鈴瑚は勇美にチョップを強かに決めたのであった。地味に鈍い音が朝日の眩しい空間に響いたのだった。
「う〜……。地味に痛いですよ」
「しょうもない事続けるあなたが悪いのですよ」
「はい、自重します……」
勇美は漸くここで悪ノリをやめようと決めたようだ。対して、鈴仙は話を進めるべく切り出す。
「鈴瑚、あなたが来たから丁度良かったわ。これから月へ向かう為に秘密の通路を使わせてもらうわよ」
「はいどうぞ」
鈴仙の申し出に鈴瑚は素直に従うのだった。そして彼女は「さあ、勇美さん行きましょう」と相方に対して促し、そのまま歩を進めて行くのだった。
「……」
勇美はそれに従いつつも、どこか釈然としない気分となっていた。──これは何かが違うと。
そう思いながらも鈴仙と共に先を進む勇美達の足下に何かが命中したのだった。ボンと弾けて地面に軽く小さな穴を開けた。
その穴の中には何も残ってはいない所から、今のはエネルギーの塊が着弾したのだと窺えるだろう。それに続いて、後ろから叫び声が届くのだった。
「って、そんな訳ないでしょう!」
それを聞いた瞬間、勇美は思った。「ノリツッコミだー!」と。
◇ ◇ ◇
その後は一人と二羽は察しの通り、弾幕ごっこの為に向かい合っている状態となるのだった。
「それにしても便利な決闘方法ですね」
そう言いながら鈴瑚は弾幕ごっこという幻想郷の勝負のルールに感心の意を示す。
「そうですよね。だから私は弾幕ごっこが好きなんですよ」
鈴瑚の主張に勇美も同意の念を表す。そして、彼女自身が自分から弾幕ごっこを愛していったのだとここで勇美は思い返した。──この勝負方法があるのが幻想郷の素晴らしさの一つだからだと。
「では、始めましょうか」
「そうですね、月の者だから私はまだ慣れない所があるけど、お手柔らかにお願いするわね」
そ
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