暁 〜小説投稿サイト〜
MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第8話 メタボになるよ:前編
[3/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
さい。しかも、この耳は本物だから貸せませんって」
「「そうだったんだー!」」
 ここで諏訪子と勇美の言葉が見事にハモったのだった。
「……って、何で勇美さんまで驚いているんですか?」
「だって、その耳にはボタンみたいのが付いているでしょう? それでてっきり偽耳だと思っていた訳ですよ」
「あ……、何かごめんね……」
 身内である勇美にまで変な誤解を与えていた事にいたたまれなくなって、取り敢えず鈴仙は謝っておいた。
「……まあ、それはさておいて、旅を再開しましょう。急ぐのは良くないけど、逆に余りゆっくりもしてはいられない訳ですからね」
「そうですね。……お二人とも、改めてありがとうございました」
「いや、私達は異変解決には余り関与しないと決めているからな、この位の手助けはさせてもらうさ」
「いつでも来ていいからね〜」
 そのように二柱に暖かく送り出され、とうとう二人は再び旅立ったのだった。

◇ ◇ ◇

 ちなみに、その後陽がしっかりと昇った後で早苗は起きて来たのである。そして……。
「い〜ざ〜み〜ざ〜ん! 何で私に何も言わずに行っちゃったの〜!!」
 当然の如く早苗は打ちひしがれていたのだった。
「早苗、勇美達は忙しいんだ。それにまだ寝ていたお前に気を遣って起こさなかった訳だぞ」
「はい、そうですよね……」
 だが、神奈子に諭されて納得をする。早苗は妖怪退治においてはサディスティックな面があれど、基本的には真面目な性格だから物分かりは良いのである。
「しかし、異変解決の差し支えにならないようにとはいえ、勇美さんを目の前にして頭の一つもなでなで出来ないなんて心に毒ってものでしたねぇ……」
「……早苗、今回お前はよく頑張ったよ……」
 我が子同然の早苗のやばい衝動におののきながらも、神奈子は彼女の奮闘を評価するのだった。
 早苗は見ての通りだし、諏訪子は諏訪子で鈴仙の兎耳に夢中になる子供染みた様子を見せていたので、守矢神社にはそんな者達ばかりなのかと密かに心の中で溜め息を吐いてしまう。
 だが、その神奈子にも天然染みた所がある訳だから、守矢一家にはまともな者がいないのかも知れないのだった。

◇ ◇ ◇

 話は再び陽が昇る前へと戻る。そして勇美と鈴仙は守矢神社の近くの湖の前へと歩を進めていたのだった。
「うわあ〜……綺麗……」
 思わず嘆息する勇美。そうならざるを得ないような情景がそこにはあったからである。
 まずは見渡す限りの広大な湖が眼前に存在しているのだ。それだけでも心を奪われる光景であろう。
 それに加えて、今は朝日が出かけている状態であるが故に辺りは幻想的な群青色に染められているのだ。その色が湖面にも満遍なく塗りたくられているのである。
 極め付きはその湖の水平線に、生卵を落とし込ん
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ