第三章 リベン珠
第7話 今日はここまで
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入れたのだった。
◇ ◇ ◇
ここは守山神社の境内である。
山の上に作られた場所という事もあり、見晴らしが良く、空気も澄んでいて実に心地が良い場所である。
そして、神社の近くに壮大な湖まで存在しているのだ。外の世界にこのような場所があれば世界遺産の候補になる位のクオリティーがあるというものだ。
そんな芸術作品のような境内は今、夜の帳が降りていた。その事によりその神秘性は更に引き立てられていたのである。
その事に勇美は当然心が踊るような気持ちを抱いていたのだった。──これぞ旅の醍醐味だと。
勿論これは幻想郷を護る為の旅の途中なのであるが、だからといってそれに対して根詰めていては無駄に精神を浪費してしまうというものだろう。
故に、この旅は楽しんでなんぼだと、そう勇美は思うのであった。
勇美がそのように想いを馳せている中で声が掛かって来た。今回の宿泊の話の提案者である早苗からである。
「お二人とも、夕食の用意が出来ましたよ」
「はい」
「分かりました」
その早苗の呼び掛けに二人は答えて、彼女の案内のままに歩を進めたのである。
そして、二人は居間へと辿り着いたのだ。
そこは程よい広さもあり、突然の来客である自分達も決して邪魔にならない程の空間が備わっていた。
「勇美〜、お久しぶり〜」
「お前と会うのはいつぞやの早苗との弾幕ごっこに立ち会って以来だな」
勇美に対して諏訪子と神奈子の守矢神社の二柱は快く迎えてくれたのである。
「今回はお友達も一緒なんだね。ウサギさんのお客さんってのも珍しいね」
「あはは、鈴仙です。初めまして」
物珍しそうに見られて鈴仙はこそばゆい気持ちとなりながらも、紳士的に挨拶を返していった。
「二人ともこれから先は長いのだろう? 今日はここでゆっくりしていくといい」
「ありがとうございます」
神奈子のその計らいに、勇美と鈴仙の両者は有難い気持ちとなっていた。
「それでは皆さん、積もる話もあるでしょうが、まずはお食事にするとしましょう」
そう提案する早苗に対して、誰もノーの意見を出す者はいなかったのである。生き物が生きる糧である食事を蔑ろにする考えなど野暮というものだろう。
◇ ◇ ◇
そして一同は食事の前の礼儀をこなした後、各々で好きなおかずに手を伸ばしていったのである。
本日の守矢神社の夕食は山菜の天ぷらであった。どうやら山の妖怪達から分けてもらった物を使ったらしい。
勇美も手頃な天ぷらを箸で取ると、それを大根おろしがしっかり利いたタレに付けてから口へと運んだ。
その瞬間にまずサクリと心地良い食感が口の中を支配したのである。
そして、天ぷらの衣と揚げられて食べやすくなった山菜とタレが見事に調和し合い、それぞれの素材の良い所を互い
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