第三章 リベン珠
第7話 今日はここまで
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ものなのであるから。
嵐の如く、もとい風の如く文が去った後に二人は残された訳であった。その事に加えて、今の時間帯の事が加わり、二人は哀愁深く感じる。
「文さん、行っちゃったね……」
「ええ、それにもう『夕方』だしね」
「そうですねぇ……」
そう、鈴仙が言った通り今の時間は夕暮れ時であったのである。
今までここまで歩いて来たのだ。それに加えて妖精や妖怪、果ては清蘭といった玉兎と弾幕ごっこまでしているのだ。時間が経たない方がおかしいというものだろう。
「どこか野宿でもするしかないかな?」
勇美はそうやれやれといった様子で呟くが、こういう事態は予測していたのである。
今回の異変の発生源は月なのである。故にとても一日で行けるような場所にはないのだ。
だから勇美と鈴仙はこの時の為の準備は用意して貰っているのだった。
「まあ、八意先生特製のテントがあれば野宿もへっちゃらでしょう♪」
「そうね、さすがは我が師匠って感じです」
そう二人が言うように、永琳が用意したテントは非常に高性能であったのだ。
まず、空調が完備されていて、外が暑かろうが寒かろうがテントの中は常に快適な温度が保たれるのである。
それに加えて、幻想郷にてなくてはならないのが、何といっても『妖怪対策』であろう。
それがこのテントには完璧に備わっているのだった。設置してある状態なら、対妖怪用の結界が生成されて妖怪達は近寄る事が出来ないのである。勿論その妖怪である鈴仙にだけは使えるように処置を施しているのは、永琳がいかに天才であるかという事なのだ。
詰まる所は今回の旅において、就寝場所には困りはしないという事であった。そして、そのテントも夕食も勇美が八雲紫から貰った簡易スキマを使っていつでも取り出す事が出来るのだ。最早完璧といってもいい位に準備というものは備わっているのである。
だが、どうやら今回はその『備え』なくしても『憂い』な目には遭わずに済みそうであった。
勇美達が怠っていない準備に安堵しながら歩を進めていると、そこに見知った者の人影が見えたのだった。
そして、それは非常に目立つ外見なので、勇美は誰だか迷う事はなかったのである。──本当ならば余り会いたくはない存在なのであったが。
だが、無情にも相手の方はここで勇美に気付いてしまったようだ。
「お久しぶりです、勇美さん」
「うげっ、気付かれてしまいましたか……、早苗さん」
そう勇美が今しがた言葉を返した人こそ、東風谷早苗であり、勇美が苦手とする者であったのだ。
そんな思いの勇美に、早苗も気付いたのかこう返した。
「安心して下さい勇美さん。別にあなたを取って喰おうなんてしませんから」
「いえ、早苗さんの場合普段が普段だから信用出来ないんですよ……」
「大丈夫ですよ。今は幻
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