第三章 リベン珠
第7話 今日はここまで
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それには当然鈴仙も首を傾げる事となる。
「勇美さん、どういうつもりなんですか?」
「それはですね、今しがた清蘭さんと戦って分かったんですよ。この人の素質は極めて高いって」
「……」
勇美に思ってもみなかった事を言われて、清蘭は無言になってしまった。
そんな心持ちの清蘭を尻目に勇美は続ける。
「今までの話から、清蘭さんは依姫さんの管轄ではない玉兎さんなんでしょう? そして、清蘭さん程の素質があれば依姫さんに指導してもらえば絶対に力を伸ばせるって思うんですよ」
その勇美の言葉を聞きながら、清蘭はどこか狐につままれたような気持ちとなっていたが、ここで気をしっかり持ってこう言ったのである。
「……確かに、勇美が言うと説得力が違うわね……」
そう清蘭は結論付けたのである。それは清蘭が勇美の実力を高く評価している事に繋がるのだった。
そんな清蘭に対して勇美は付け加える。
「勿論、無理強いしては意味がないって事は分かっているよ。だから、どうするかは清蘭さん自身が決める事だよ」
「……」
そう勇美に言われて清蘭は考え込んでしまった。
確かに自分は今、自らの意思で依姫とは違う者に着いている。だが、これを切っ掛けに依姫側に着く事を考えてみるというのも悪くはないと思うのであった。
そして、彼女自身が今の下っ端的な役職に納得していないというのもあった。自分に素質があるというなら、自分を磨き上げて上を目指すというのは悪い話ではないだろう。
それらの事を踏まえて、清蘭は今の答えを導き出すに至るのだった。
「……少し考えさせてね。すぐには答えを出すのは簡単じゃないし、行動に移すのにも時間が掛かるというものだからね」
「清蘭さん」
この瞬間勇美は『手応えがあった』と確信に至るのであった。この事が今後の清蘭に確実に影響を与えるだろうと。
勇美がそう内心で歓喜している間にも清蘭は続ける。
「いざ実行するには色々準備も必要だしね。『嫦娥』様にも話を通さないといけないし」
「その人?」
勇美はその名前を聞いてハッとなった。
何故なら聞き覚えがあったからである。確か蓬莱の薬を飲んだ月の罪人で、玉兎達は彼女の罪を代わりに償うべく薬をついていたという事、そしてレイセン──今ではイシン──がその役職に嫌気がさして月から地上に逃げて来た経緯もあった事を勇美も聞かされていたからである。
何やらとても訳アリのような人のようである。そう勇美は思った。
だが、それと同時に今の自分達には直接関係はしてこないだろうと割り切るのだった。今は月の介入から幻想郷を護る事、そして連絡のつかなくなった綿月姉妹の安否を知る事が第一の目標なのだから。
「まあ、話は今回はここまでね。その先の事は今後情報を送るからね。……私に気を利かせてくれてありがとう
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