第三章 リベン珠
第6話 遂に現れた存在:後編
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燃え上がり羽ばたくと、その勢いのまま青き鷲を貫いたのだった。
そして鷲は砕け散り、その中を掻い潜るかのように不死鳥が本体の清蘭目掛けて突貫してきた。
「うわあっ……!!」
驚きの声を上げると共に、清蘭は勢いそのままに向かって来たメタルフェニックスに弾き飛ばされてしまったのだった。そして彼女は地面に倒れ伏せてしまった。
その後、役目を終えた機械の不死鳥はその場でかき消えてしまう。後に残ったのは倒れてうずくまる清蘭だけであった。
暫くして彼女はダメージで重く感じる体を起こしながら呟いた。
「何で私がやられているの……?」
それは即ち清蘭の敗北宣言であった。つまり、勇美と鈴仙はこの旅始まってから初の弾幕ごっこに勝利したという事だった。
◇ ◇ ◇
「大したものね鈴仙、今のあなたには迷いはなかったわ」
痛みに耐えながら体を起こした清蘭はそうしみじみと言った。
その言葉を聞きながら鈴仙は思っていた。──そう、今までの自分には迷いがあった。それは月から逃げて来た自責の念である。
だが、それも今では完全ではないものの払拭出来た。だから、こう言っておかねばならないだろう。
「そう、だから私は今胸を張って『地上の兎』になったって言い切れるわ」
それが鈴仙の答えであった。その答えはきっとかつての主である依姫も望む事であろう。
「……立派になったわね、鈴仙。それと勇美も。さっきのは凄かったわ」
「えへへ、依姫さんと神様の力のお陰ですよ♪」
清蘭に言われて、勇美は照れ臭くなってそう答えておいた。
ここに二人と清蘭の間にどこか友情染みたものが芽生えていた。だが、『これは仕事』なのだ。清蘭はその長い耳を立てるとある行動をしようとし始めたのだ。
それは、玉兎同士がテレパシーで情報交換をする手段なのだ。今正に清蘭はそれを行おうとしていた。
『メーデーメーデー緊急事態発せっ……!!』
「ちょいまち!」
だが、それを勇美に阻止されてしまった。がしっとその兎耳を強かに握られてしまったのだ。
「ちょっ……何すんの?」
「仲間に知らせるのはいいんだけど、その前にお願いを聞いて欲しいなって」
「……」
何か理不尽な目に遭っているような気がしながらも、清蘭はその考えを押し込める事にした。
何故なら自分は幻想郷で白黒付ける為の決闘方法である弾幕ごっこに負けたのだ。ここは郷に従うのがルールというものだろう。
「何かしら? 要件はてっとり早く言いなさい」
「うん、私達が勝ったって事で、私にもその料理をご馳走して欲しいかなって」
この人はヘンタイな上に食いしん坊なのか。そう打ちひしがれながら清蘭は頭を抱えるのだった。
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