第三章 リベン珠
第6話 遂に現れた存在:後編
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していたのだ。
痛みに堪えながら、その事から勇美はある推論を立てたのである。
「……もしかして、そのスローな状態から一気に弾速を速めたのですか?」
「ご名答よ。さすが神降ろしの力を借りるだけの事はあるわね。そう、ご察しの通り、この『スピードシューティング』は弾速を低速から高速に自在に変える事が出来るってワケ」
「……これまた厄介ですね……」
そう呟く通り、勇美にとって分が悪い事実なのであった。
自分は今まで、どちらかというと相手の攻撃に合わせて戦略を練っていた。故に、今の清蘭の攻撃は『見て』対応出来ないので勇美にとって難儀なのである。
「う〜む……」
どうしたものかと悩む勇美。そこに掛かって来たのは鈴仙の声であった。
「勇美、これはあなたにとってやり辛い攻撃よ。だからここは私に任せて!」
「鈴仙さん!」
不意に呼び掛けられて、勇美はハッとしながら返事を返したのである。
勇美がそうしている間に鈴仙は準備が整ったようだ。後はそれを実行に移すのみである。
「【狂符「幻視調律」】」
「しまっ……」
清蘭がそう言い掛けた時には既に遅かったのだった。彼女の感覚は奪われ、そして、彼女が敷いた弾丸の布陣は全て清蘭の方向へと向けられてしまったのである。
「はい、動いていいわよ」
そう言って鈴仙はパチンと指を鳴らすと清蘭の感覚は元に戻り、そして──彼女の元へと自身が放った弾丸の一斉射撃が行われたのだった。
「うきゃあああっ!」
清蘭の放った弾丸は全て主へと突撃し、パチパチと激しく爆ぜた。当然清蘭はその痛みに耐えかねて悲鳴をあげてしまう。
気付けば弾丸の突撃は収まったようだ。思わぬ反撃を受けた清蘭は堪らずに息をあげている。
「はあ……はあ……」
対して、自分を危機から脱させてくれた鈴仙に勇美は感謝をする。
「鈴仙さん、助かりましたよ。ありがとうございました♪」
「どういたしまして。そして忘れないでね、今回あなたと私は『タッグを組んでいる』って事をね♪」
「えへへ、そうですね」
そう言い合うと二人はどちらからともなく微笑み合うのだった。
「これは驚いたわね……」
そんなやり取りをする二人、特に鈴仙を見据え、清蘭はそう実感する。
それは、鈴仙が誰かと力を合わせている事に対してだった。今までの鈴仙の事を知る清蘭は、鈴仙は誰かとつるむ事を嫌う一匹狼のような性格だと記憶していたからだ。
それが今こうして誰かと力を合わせて戦っている。そう思うと清蘭は感慨深い気持ちとなるのであった。
『あの鈴仙が……』。その言葉が清蘭の思考を支配していった。そして、その感情は『嬉しさ』だった。
かつての同僚の成長を感じる事で、そう想い懐く清蘭。そして、こうも思う。──あの勇美とかいう人
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